商談で訪問した会社の「基本理念」に心を動かされた。
人はみな豊かでなければならない
我々に関係ある人はみな
どうしても豊かでなければならない
まっすぐ、率直に、創業者の思いが伝わってくる。
訪れたのは焼き鳥缶詰で有名なホテイフーズコーポレーションである。
同社は今年4月、創業80周年を迎えたそうだ。
頭の中で逆算した。
昭和8年ということだろうか。
戦前、まだ大正の息吹を残し、明るく閉塞感のなかった時代。
でも、今と比べれば国力は低く、みな貧しかったに違いない。
そういうときに、まっすぐ、率直に創業者の山本良作氏は
「豊かでなければならない」と説いた。
日本も、この地域(現在の静岡市清水区の東外れも)、そしてホテイ社員も!
「どうしても豊かでなければならない」と宣言したのだ。
以後、日本は戦火をくぐり、焼け野原にされ、それでも立ち上がり、
10年たたないうちに自立し、昭和40年代には高度成長をとげた。
平成に入るやバブル絶頂期と奈落を短時日に経験、
ここ20年は意気が上がらない。
詳しく知らないが、同社もほとんど同じ軌跡をたどったのではないか。
記憶に残るのは、テレビCMで流れた歌だ。
<焼き鳥なーら、ほーてい。焼き焼き♪♪>
最後のYAKIYAKIが耳に残っている。
創業80年を迎えた同社は、十数年ぶりにテレビCMを復活させたという。
長い停滞期があったことを、僕はまったく気づいていなかった。
きょう訪ねたのは
『ホテイ社員のやきとり缶 とっておきレシピ』という本が出版され、
地元紙が報じた記事をたまたま読んだからだ。
静岡の会社も“タニタ本”をつくったのか、と思った。
応対してくれた課長さんによると
「焼き鳥缶というと、今はおつまみのイメージ」だそうだ。
「食材としてもっと使ってもらいたくて」と出版の狙いを説明してくれた。
料理に使われれば缶詰めの売れ行きは伸びる。
創業80年、老舗のもうひと伸びを既存商品の用途多様化にかけるわけか、
『悪い発想じゃないな』と思った。
きょうは記者としてではなく、ミーツ出版の営業マンとして来た。
目的はコラボレーションだ。
料理と電子書籍は相性がきっと合う。
肉から出るにおい、ジュージューという音、煙、待ち遠しさ……
動画で表現すればレシピの魅力はもっと伝わるだろう。
会社や商品のプロモートツールとして、
電子書籍が使えることをお伝えしたかったのだ。
入り口で「人はみな豊かでなければならない」の言葉に会った。
なにも、ゼニカネのことだけではないんじゃないか。
おいしいものを食べたい欲求が人間にはある。
創業者は、そのこともいいたかったのかもしれない。
生真面目な課長さんと対話しながら、
『よい縁が生まれるといいな』と思った。
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【筆者から】
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ミーツ出版(株)という小さな出版社の社長をしています。61歳で行政書士の資格を取り開業しました。さらにこの数年は「ソーシャルメディアを愛する者」としてFacebookで熱く語り続けています。ブログは私の発言のごく一部です。ぜひFacebookページもご覧ください。コメントをいただけたら、こんなにうれしいことはありません。