読む・書く・作る・取材する 欲張りな出版社ですがよろしく! | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。

本の魅力とはなんだろう。


生まれてこの方、仕事をしていた時間を除き、
圧倒的に時間を費やしてきたのは「本を読む」という時間だ。
特に大学の4年間、万巻の書物は大げさにしても、優に1000冊は読んだ。


読んだ本の内容を覚えているか、と聞かれると怪しいものだが、
功利や効率のため、知識を詰め込むために本を読んできたわけではない。
ただただ楽しみだったし、「好きだから」こそ読み続けている。


若いときに読んだ本のいちいちを記憶してはいないが、今日に至るまで、
僕の思想や考え方、価値観、ひいては行動のあれこれを決めてきたのは、
間違いなく「本」から派生したものだと思う。


ふと思い出し、何十年ぶりかに書棚から本を取り出し読みふけることがある。
するとそこに、心を煩わせていたことの解決へのヒントが見出されたりする。
勘としか言いようがないが、体のどこかで覚えていたのだろうか。


あるいはまた、当てずっぽうであっても「思い当たる節」に当たるのは、
どんな本にもいろいろな啓示があること、
目的がないときには読み過ごしたことが、
あるテーマを抱えているときには気づくことが出来る、
そんな作用であるのかもしれない。


だから僕は書棚のことを『第2の脳みそ』だと思っている。


◆◆絶頂から転げ落ちたとき、本作りの醍醐味を知る

本の効用はそればかりではない。
「最高の暇つぶし」でもある。
おまけに、本を読んでいれば雑事から逃げ込むことができる。


そんな本であるが、読書を一時封印したときがある。
つい最近のことだ。
59歳後半から61歳後半までの2年間。
法律書以外、一切読まないことに決めた。
司法書士・行政書士の試験を受けようと思ったからだ。


すべては娘の一言から始まった。
30ウン歳、崖っぷち娘が急に勉強を始めた。
行政書士の試験を受けるのだと言う。
気まぐれと思っていたが、会社から帰ると一心不乱の勉強が続いている。
「案外続くじゃないか」と声を掛けたら娘は、
「お父さんもやりなよ。司法書士の方が難しいよ」と言った。


なぜその言葉に反応したのか分からない。
強いて言えば、こっちも崖っぷちだったからだろう。


54歳で編集局長になった。
入社した時から「1面のコラムを書くか編集局長になる」と念じた。
無論、そんなに会社人生、甘くはない。
紆余曲折、山も谷もあったが(谷の方が多かった)、なぜか自信だけはあった。
何の根拠もないのに『俺が局長になるのは天命』くらいに思っていた。


どうにかこうにか「目標」にたどりついた。
能力を買ってくれる人がいたからだ。
しかし人の気持ちは分からない。
いつしか大きな断層が出来て、2年半後、僕は大役を下された。
『局を変えようと思ったのに、何もできなかったな』の思いが強い。


しかし一方、ホッと一息ついたのも事実であった。
見えない神経戦に、やはり疲れていたのかも知れない。
体中、異変が起きた。
左肩が上がらない、猛烈な腰痛、そして全身にかゆみ…。
『よくぞ俺は重い病気にかからなかったものだ』と思った。


──ぎりぎりセーフ、俺は運がいい。
と思ったのは無論、負け惜しみである。


人生暗転したが、次の配属先は出版関係の責任者。
離れ小島のようなロケーションにあり、自由が利いた。
ここで読む楽しみではなく、本を作る醍醐味を知った。
何より『こんな本を作りたい』と思えば、それが実現する。
新聞ほどの部数ではないが、十分に満足感があった。


◆◆iPhoneやネットの周辺で時代のうねり

しかしまた異動。
今度はインターネット絡みの部署。
「局長」の名はついているが事実上はナンバー2だった。
激しい変革期にあったが、提案はことごとく通らず意欲を失った。


失った中でiPhoneに出合った。
不思議な電話機だ。
電話、カメラ、スケジュール管理、音楽、そしてアプリも使える。
これは長年探し求めていた「電子手帳」そのものではないか!
すっかりはまった。


2010年、ツィッターのブームが来た。
法律の勉強は前年の秋から始めていたが、iPhoneを駆使してつぶやきも続けた。
短文を書くことが日課になっていくうち、記者だったことを思い出した。
この年の冬にはfacebookも始め「書き手」意識がますます強くなった。


しかもこの頃、電子書籍にも新しいうねりが到来していた。
すると、出版編集人としての意識も頭をもたげてくる。
そしてその頃、受験勉強は正念場を迎え、頭の中が猛烈に忙しくなった。


つい先日までは世捨て人のような心理の中にいた。
遮二無二勉強を始めたことで、本来の自分を取り戻した。
今は疾風怒濤を感じる。
──新しい時代が始まっている
わくわく感がある。
こうしてはいられないと、はやる気持ちがあった。


◆◆「本に残したい人生」がある

猛烈な焦りがあったが、試験には落ちてしまった。
負けたまま会社を去りたくない、だからもう1年我慢した。
志を持続できるか、自分の本気を問い直す期間だとも感じた。
この年、新聞から放送へと極端な異動があり新しい職場で右往左往。
が、これも新しいことへの対応能力を試す機会だと思えばありがたい。


結果は幸い「吉」と出た。
今年1月、行政書士試験に合格。
2月いっぱいで会社を退職し、3月16日に出版社を設立した。


行政書士事務所の開業ではなく、なぜ出版社だったのか。
それは自分の「得手」を優先するとの意味と、出版に絡んで、
次から次へとやりたいことが生まれてきたからでもある。


出版社である以上、ベストセラーを出したい。
一方、良質な自費出版の本を世に送り出したいとの思いもある。
若いころ手掛けた取材により、「本に残したい人生」に数多く出合っているからだ。
自分で書ければ申し分ないが、
書くのが苦手な人でも意思さえあれば僕がその人の人生を
一冊に再構成することは十分可能である。
つまり、出版は書き手(記者)としての思いを実現する手段でもある。


だからミーツ出版株式会社は欲張りな会社だ。
本にまつわるすべて、読む・書く・作る・取材するのすべてやりたいと言うのだから。

◇◇

長くなったが、以上がミーツ出版設立の経緯である。
本が好きな人たちと末永くお付き合いしたいと思っている。


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