日本の政治、おろかな道をたどるのですか? | ジャーナリスト 石川秀樹

ジャーナリスト 石川秀樹

ちょっと辛口、時どきホロリ……。理性と感情満載、世の常識をうのみにせず、これはと思えばズバッと持論で直球勝負。
3本のブログとFacebook、ツイッターを駆使して情報発信するジャーナリスト。
相続に強い行政書士、「ミーツ出版」社長としても活動中。



■国民の洞察力あなどるべからず

菅降ろしの第2幕が始まっている。
今回のテーマは「居直り許さず」「潔く職を辞せ」。
野党が提出した内閣不信任案をようやくのこと否決し、
与党としての最低限の理性を保持して、
さあこれから震災復興法案の審議だと思ったら、
またしても裏切ってくれる。
この国の政治は最低最悪だ。


これに輪をかけ大新聞メディアは、論調に多少のニュアンスの違いはあれ、
引きずり降ろし第2幕に便乗して、政権崩壊をあおっている。


hidekidos かく語り記-菅さん


こうした動きがいかに異常か、世論はちゃんと見抜いている。
共同通信の全国世論調査によれば、
小沢一郎氏支持派議員の行動を「評価しない」とした人が9割に達した。
また、退陣の意向を表明した首相に関し「辞めるのは当然」が48%、
「辞める必要はない」45%で拮抗した。
「世間」などと言うが、日本人の集合知は実にレベルが高いと思う。
ふつうの人々をあなどってはいけない。


■古くて大きな権力構造の影

さらに朝刊を読んでいて、目に止まった一文がある。
若宮啓文朝日新聞主筆の以下の文章だ。


「(首相としての菅氏の対応のまずさを指摘した後)一方で特筆すべきは、
浜岡原発の停止を実現させ、電力会社から送電部門を切り離す方向を示すなど、
長く政財官界に大きな影響力をもってきた電力業界に正面から切り込んだことだ。
菅氏らしさがここでは発揮された。
経団連会長が首相を激しく批判したように、
そのことがまた、強い逆風を招いた。
菅降ろしが激化した背景には、永田町にとどまらない
古くて大きな権力構造
の巻き返しも感じとれた。



若宮主筆の論は「首相は潔くあれ」と見出しが付いているように、
退陣表明と受け取れる発言をした以上、
方向性に道筋をつけたら潔く早期退陣して政治の泥沼化を防げ-
というものだから、僕の意見とは異なる。


しかし、震災復興に急でなければならないこの時期の
「唐突な菅降ろし」の背景をついたこの一文は、炯眼(けいがん)だと思う。
個々の政治家にとってはやむにやまれぬ思いがあったのかもしれない。
菅氏の指導力不足に不満もあったろう。
野党には野党で、「震災復興に協力しない自公とののしられようと、
ここは弱い政権を叩いた方が『政権奪回』の早道」
との計算が働いたに違いない。


にしても、何だか腑に落ちない。
小沢一郎元代表の菅氏に対する怨念といった「わかりやすい」説明をされても、
それにしても「なぜ、この時期に?」の疑問は消えない。
世論調査にはっきり表れているように「この時期」は仕掛ける側にとって不利だ。
なのに、なぜ事を急いだのか。



■浜岡原発の再開が心配だ

hidekidos かく語り記-浜岡原発 そんな疑問をもつ者にとって、若宮氏の分析はヒントになる。
 浜岡原発を止めたことで、トラの尾を踏んだということだったのか…、と。


 これが真実かどうかは知らない(僕には調べようがないので)。
 いかにもありそうな話にとどめておくが、
 もしこれが真実の一端をとらえているとしたら、
 僕には重大な関心事がある。
 「浜岡原発」だ。


再三再四にわたり、原発の在ってはならない理由をつぶやいてきた。
そして、奇跡のように浜岡原発が止まった。


しかし、新しい政権のもとでは、
ほとぼりが冷めたころに「運転再開」となる可能性がありそうだ。
ゾンビを生き返らせたいという勢力が、この国にはまだまだ多数存在している。
個々の政治家の心意気や熱い思いを利用して、
流れを旧に引き戻したい輩(やから)がいる。


自分や、自分の国や、地球の未来を犠牲にしても、
ただただ今の自分の繁栄と(隠れみのとしての)「わが国の繁栄」のために、
危険で破滅的なシステムを存続させたいとは、
なんというごう慢さだろう。


日本人の集合知はすぐれている。
希望はそこにある。


首相の「辞めろ」「辞めない」の駆け引きはやがて終わるだろう。
だが、国民は次の政権がどのようなものになるのか注視していかなければいけない。
おろかな産業界お抱えの政権では、
日本の未来はないことを、肝に銘じておかなければならない。



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