安全保障理事会での予備投票で、潘氏は、拒否権を持つ5常任理事国すべての支持を得た。9日の安保理で正式選出後、国連総会で第8代事務総長に任命される運びだ。
潘氏は、アジアからは、ビルマ(現ミャンマー)出身のウ・タント氏以来、2人目の国連トップとなる。国連大使も務めたベテラン外交官として、その調整能力には定評がある。
だが、それで十分、とは言えない。
事務総長の職責はきわめて重い。何より、「加盟国の数だけ正義がある」と言われる国連で、各国からの圧力をはね返し、世界全体の利益を追求するには、強いリーダーシップが不可欠である。
問われるのは、国連事務局のトップとしての行政能力だけではない。世界の平和と安全を脅かす問題について、安保理の行動を促すという任務も遂行していかなければならない。そのために、「中立公正」という独立性が求められる。
この点で、日本からすると、潘氏には疑問点や不安がある。
第一は、北朝鮮への対応である。
事務総長はこれまで、その性格上、紛争とは無縁の中小国から選ばれてきた。潘氏の場合は、分断国家の韓国出身という点で、異色だ。北朝鮮が絡む問題で、「中立公正」を貫けるかどうかを注視せざるを得ない。
盧武鉉政権の外相として、潘氏は、北朝鮮への融和政策を推進した。韓国は、北朝鮮の人権抑圧を非難する国連総会決議を棄権し、北朝鮮のミサイル発射を非難する安保理決議にも批判的だった。
北朝鮮が核実験を強行すれば、安保理は制裁決議へ動くしかない。緊迫する事態に、事務総長として、どう行動するのか。北朝鮮による日本人・韓国人拉致問題にどう取り組むのか。懸念は残る。
第二は、日本とも関係する安保理改革への姿勢だ。
潘氏は、小泉首相の靖国神社参拝や教科書検定、竹島問題について、対日強硬路線を指揮し、安保理改革では「非常任理事国の拡大に限る」として、日本の常任理事国入りに事実上、反対した。国際社会で日本の政治的影響力が強まることを嫌う盧政権の意を体したものだ。
潘氏が事務総長就任後も韓国案に執着するなら、5常任理事国が牛耳る安保理の現状を大胆に改革できない。「日本の常任理事国入り」を支持したアナン事務総長とは、大きな違いだ。安保理改革に消極的では、国連は活性化できない。
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