書いてみました・・・といってもまだ
この第1章だけですが・・・笑
頭の中では完結していますが
文章にしていません
とりあえず・・・読んで見てください♪
Memories(追想)
第1章
「キャリオカ」・・・
男はその文字に引き寄せられるように店内に入った。
「・・・いらっしゃいませ」
優しそうな初老のバーテンダーの
笑顔が迎えてくれる。
タイムスリップでもしたような昔と変わらぬ店内。
20年振りか・・・男は心の中で呟いた。
客はまだ誰もいない。
カウンターには10脚のハイチェアーが並んでいる。
それに8人垳のボックス席があるだけの
小さなバーである。
「カウンターの奥の席・・・いいですか?」
「お客様、誠に申し訳ありません・・・
奥の2席予約が入っておりまして・・・」
「そうですか・・・それは残念」
「奥の2席以外ならどちらでもご自由にどうぞ」
男は奥から4番目の席に腰掛けた。
「何を飲まれますか?」
「ドライマティーニをウオッカベースで
いただけますか」
「かしこまりました」
「あっ、それからステアではなくシェイクで
お願いできますか」
一瞬バーテンダーの動きが止まり
何かを考えている風だったが
かしこまりました・・・と、
にこやかな笑顔で答えた。
「すみません変な注文で・・・より冷えたのが
好みなもので」
「いえいえ、ご予約のお客様も・・・」
と言いかけてバーテンダーは口をつぐみ
時々そういうお客様
いらっしゃいますよといい直した。
「うちのお店、初めてですか?」
ウオッカとドライベルモットをシェイクしながら
バーテンダーが聞いた。
「いえ、昔はよく来ました・・・
もう20年も前のことですが・・・」
「そうでしたか・・・それはありがとうございます」
「この店の経営者だった当時のマスター
・・・今もこちらに?」
「兄のお店だったのですが体調を崩しまして
15年ほど前から私が引き継いでいます」
「声も顔もよく似ていたのでそうかなとは
思いましたが・・・」
「皆さんそう言われます」
初老のバーテンダーは、はにかむように微笑んだ。
「お兄さんも素敵な笑顔を絶やさない方でしたが
マスターも周りの人達を包み込むような
笑顔の持ち主ですね」
お世辞ではなく男はそう思った。
心の中のモヤモヤや悩みを打ち明けたくなるような
信頼感、安心感が笑顔にはあった。
「ありがとうございます」
バーテンダーは微笑みながら礼を言い
シェイクした中身をカクテルグラスではなく
シャンパングラスに注ぎレモンビールを絞り入れ
最後にオリーブを浮かべ男の前に出した。
「ウオッカベースのドライマティーニでございます」
「ありがとう・・・」
礼を言って男はグラスを口に運んだ。
「20年分の、実に深い味がします・・・うまい!」
数分の沈黙が流れる・・・
バーテンダーは感慨に耽る男の邪魔をしないように
少し離れた所でグラスを磨いている。
「マスター、一杯付き合っていただけますか」
沈黙を破るように男が言った。
「よろしいのですか」
「ぜひ・・・お好きなものを」
「では・・・ロゼワインをいただいて
よろしいですか?」
「・・・・・・」
男はバーテンダーを見た。
そしてゆっくり頷き
「一番飲んで欲しかった酒です」と言った。
ロゼワインを注いだグラスをカウンターに置き
バーテンダーは男に言った。
「もし、よろしければ・・・
こちらの御席に移られますか」
バーテンダーが示した場所は先程予約席と
言われた奥の2席だった。
「えっ、予約席ではないのですか?・・・」
「はい、予約席です・・・でもお見えになるまでどうぞ
きっと許してくれると思います・・・」
「そうですか・・・では一番奥に座らせてもらいますよ」
席を移動した所でバーテンダーがロゼの入った
グラスを男のグラスにかたむけた。
「本日はお越しいただきありがとうございます
20年振りにお越しいただいたお客様と
このような日に乾杯させていただけるとは・・・
では、いただきます」
「乾杯!」
グラスの触れ合う音が店内に響き渡る。
「・・・この席に座ったら、まるで20年前が
蘇ってきたようです・・・」
「思い出がお有りのようですね・・・」
「・・・・・・」
男は一呼吸置くと
「マスター・・・僕の話を聞いてくれますか?」
そう言うとドライマティーニを一気に飲み干した。
「私でよければ・・・聞かせてください・・・」
バーテンダーは優しく微笑んだ・・・
第 2 章 男の話・・・につづく