虚構の覚え | 『イラスト日記』

虚構の覚え

音の無い部屋

時間の止まった部屋


いつか何処かで、見た風景


時計の音だけが

かろうじて記憶に留まっている



いつの事だったのだろうか…

僕は確かに存在していたのだろうか…


微笑みとは言えない笑みを浮かべ

義務を果たすかの様に視線を向けている



君の未来は

きっと無限に広がっている


他人としか思えない、その自分に

今更そっと後押ししてみる



途切れ途切れの記憶にあるのは

いつか気付いた孤独だけ


その限られた空間にあるものは

いつか言い聞かせた喜びだけ



黄緑のカーテン


茶色の絨毯


音だけの時計



いつか何処かで見た風景


目に映るものは

名も無き思い出


記憶の残像は

虚構の覚え