和を以て貴しと為す
わしは長尾景虎(ながおかげとら)です。
「かかれ!」
「押し返せ!!」
永享8年(1436年)、信濃国で守護である小笠原政康(おがさわらまさやす)と豪族の村上頼清(むらかみよりきよ)が領地を巡っての争いが始まった。
小笠原氏は室町時代には信濃国の守護を務めていたんだよね
政康は幕府の後押しもあり、有利だった。これに対して頼清は、
頼清「既に鎌倉公方、足利持氏(あしかがもちうじ)様に援軍を頼んである。小笠原など信濃から追い出してくれるわ!」
その頃、鎌倉には兵が集まっていた。
これを知った上杉憲実(うえすぎのりざね)は、
憲実「なんだ、この兵たちは?景仲、なぜ兵が集まってくるのだ?」
上杉家の家宰、長尾景仲(ながおかげなか)は、
景仲「集めているのは一色直兼(いっしきなおかね)や上杉憲直(うえすぎのりなお)。信濃国で小笠原と村上の争いで村上方に公方「持氏のこと)様の軍勢として出兵するようです。」
憲実「信濃国?信濃は幕府の分国だぞ。鎌倉府の納める国とは違う。そこへ公方様の軍勢が行くと言うことは幕府軍と争うことに等しいことだ!」
景仲「公方様も了承していることとか…」
憲実「ありえぬ!公方様にお会いしてくる!」
鎌倉公方館跡
憲実は公方館に入った。すると、直兼と憲直と遭遇した。
直兼「どうした、関東管領殿?」
憲直「何しに来られた?」
憲実は嫌な2人に会ったと思った。
憲実「公方様にお会いに来たのだ。」
直兼「公方様はお忙しいのだ。そなたにお会いする暇はない。」
憲実「この集まってる兵は何事?」
憲直「信濃の村上頼清から援軍を頼まれておっての。」
憲実「ならぬ!!信濃は幕府の分国なのはご承知か?幕府と争うことになる!」
直兼「公方様のご意志なのだ!幕府の犬の関東管領殿は黙っておれ!」
直兼は腰の太刀に手をかけた。
憲実は直兼、憲直を睨みつけた。
「やめよ!!」
持氏が現れた。
憲実「公方様…」
持氏「憲実、言いたいことはわかる。」
憲実「信濃は鎌倉府の管轄ではごさりませぬ。幕府の分国。守護、小笠原殿との戦いではなく、幕府との戦いに発展します。幕府と争ってはなりませぬ。」
持氏「わかっておるが…わしは義教(よしのり)が許せぬのだ。」
憲実「幕府と公方様が争えば日の本は割れてしまいます。民…公方様が収めている鎌倉…関東の民が疲弊してしまいます。お願いでございます。ここは矛を収めてください。」
持氏「……憲実、民のため…か…」
持氏は空を眺め、大きく息を吐き、
持氏「直兼!信濃の出兵は取りやめじゃ。」
直兼「なっ、何と!?これが幕府と争う機会…」
持氏は直兼の言うことを遮り、
持氏「兵は出さん!!早く退け!!」
直兼と憲直は慌てて兵の解散をさせるべく走って行った。
憲実「公方様、ありがとうございます。」
持氏「…憲実、ここは退く…わしはそなたを信じたいのだ。わしを裏切るでないぞ。」
憲実は持氏の目が悲しい目に感じた。
信濃国の争いは守護の小笠原政康が勝利した。
しかし、騒動は治らなかった…。
つづく…











