和を以て貴しと為す
わしは長尾景虎(ながおかげとら)です。
上杉憲実(うえすぎのりざね)は大御所、足利義持(あしかがよしもち)の居る三条坊門殿に訪れた。
足利義持
会談の席には幕府側から管領、畠山満家(はたけやまみついえ)、満済(まんさい)がいて、憲実には長尾忠政(ながおただまさ)が付いていた。
憲実「お初にお目にかかります。関東管領、上杉憲実です。」
義持「ほぉ、まだ若いの。昨夜、寝所に矢を撃たれたと聞いたが、大事ないか?」
憲実「はい…我らに不満の持つ者の仕業かと考えております。」
深夜に醍醐寺に宿泊している憲実さんの寝所に矢が飛んできたんだよね
義持「満済、やった者は見つかったのか?」
満済「探させておりますが、未だ、わかりませぬ。」
義持「引き続き探すのだ。憲実、此度はわさわざ上洛したのは…持氏(もちうじ)のことだな?」
憲実「はっ…我が主、持氏様は将軍、義量(よしかず)様の御逝去に悲しんでおります。」
足利義量
義持「ほぉ、持氏が悲しんでおるのか…」
憲実「さらに義量様亡き後の将軍家をご心配しております。大御所には義量様以外の男子がなく、将軍家が絶えるのは一大事だと…」
満家「鎌倉が心配することではない!」
義持「満家、まずは憲実の話を聞こう。憲実、続けよ。」
義持の言葉に満家は渋い顔をして黙った。
憲実「持氏様は今まで足利家が京と鎌倉に分かれて争う状況を無くしたいと…そこで持氏様が大御所様のご養子となりたいと望んでおります。」
義持「わしの子に?それは将軍になりたいと望んでおるのだな?」
憲実「京と鎌倉の争いを無くすためにございます。」
ここで我慢できなくなった満家が、
満家「問題を起こしているのは鎌倉ではないか?持氏公は将軍職に就きたいだけでないのか?」
憲実「いえ、そんなことはございませぬ。戦をしないことを考えておりまする。」
義持は大きく息を吐き、
義持「後継ぎの候補は、我が異母弟もおるが、まだ考えておらぬ。申し出は我が心に留めておこう。満家も満済もよいな?」
満家「…はい。」
満済「わかりました。憲実殿、大御所様は今、赤松家(あかまつけ)の相続の問題解決でお忙しいのだ。」
憲実「わかりました。持氏様にはそのようにお伝えします。」
義持「憲実、ゆるりと京を見回っていくがよいぞ。」
憲実は義持の器量に感心していた。
憲実らは醍醐寺に戻ろうとしたが満済に止められ、
満済「憲実殿、今、大御所様の弟君で比叡山延暦寺の義円(ぎえん)様がお越しになっておりまする。よい機会なので、会われていかれますか?」
憲実「義円様…」
義円、後に憲実が苦しむことになる存在になる足利義教(あしかがよしのり)のことである…
つづく…







