和を以て貴しと為す
わしは長尾景虎(ながおかげとら)です。
ほぼ廃墟化していた建物が学びの場所と知った上杉憲実(うえすぎのりざね)。
憲実「中に入ってみよう。」
憲実は家臣の長尾景仲(ながおかげなか)と平太(へいた)は先に入った。
平太は憲実さんに仕える忍びだな
景仲「…ボロボロだな。」
平太「憲実様、足元にお気をつけくださいませ。」
中には広間があり、片隅には書物がしまってあった。
憲実「この書物は…儒教。」
景仲「まだ誰がここで学んでいるのでしょうか?」
その時、広間に僧らしき人物が入ってきた。
僧「そなたらは何者か?何のようじゃ?」
憲実「我らは上野国の上杉の者。わしは上杉憲実です。」
僧「上杉…」
憲実「ここは学びの場所と聞いたが?」
僧「うむ、学びの場所だ。今もそうだ。」
景仲「今も…って廃墟かと思うたぞ。」
僧「わずかながら学びにくる者がおる。」
憲実「ここは足利荘…かつて足利義兼(あしかがよしかね)公が学びの場所を持っていたと聞いたことがある。」
僧「そなた、よく知っておるな。義兼公が設立した学びの場所…学校をここに移したのだ。」
足利義兼
足利義兼さんは足利宗家の二代目で平安時代末期から鎌倉時代初期の武将だよ
憲実は気分が向上してきた。
憲実「素晴らしいところではないか!人は学んで成長する。こんなに朽ちくしておくには惜しい。御坊、わしに建物を修繕させてくれ。」
景仲「殿、よろしいのですか?」
憲実「学びの場所…学校があれば武士も成長していく。学んで政に生かさねば、武士は争うばかりになる。」
僧「争いが、この世を朽くしておるのじゃ。この建物のように…。」
憲実「御坊、修繕するまで、しっかり学びを続けてくれ。御坊、御名は?」
僧「わしは宗元(そうげん)と申す。憲実殿、学校の再興頼みまする。書物はわしがしっかりと守る。」
学ぶことの好きな憲実は満足気であった。
これが後の足利学校。足利学校の創建にはいろんな説があるんだ。説のひとつに足利義兼さんが創建した説があるんだよ
その後、憲実ら一向は足利荘を見回っていた。
景仲「殿、そろそろ帰りましょう。」
憲実「うむ、暗くなってきたからな。」
その時!
バズッ!!
矢が憲実の頭上を飛び越えていったのだ…。
つづく…







