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信長さんには誰も逆らえない状況なんだね
秀吉は恐怖を感じた。
秀吉は上月城近くの高倉山(たかくらやま)の陣に戻った。
上月城は元春と小早川隆景(こばやかわたかかげ)らの毛利軍と宇喜多(うきた)の軍勢に攻められていた。
元春は深い空堀や塹壕を掘り、塀を巡らし柵や逆茂木で防備を固めていたのだ。
さらに連日、太鼓や法螺貝を鳴らし威嚇し、兵糧攻めで城兵の戦意を喪失させる策を取った。
元春「無理な攻めはせず。弥助(やすけ)、城内の様子はどうだ?」
弥助「疲弊している様子ですが、羽柴軍の進軍を期待しているようです。」
元春「うむ…かかってこい、秀吉。」
高倉山の秀吉は上月城に使者を出し、城から抜け出すよう促していた。
しかし、上月城の尼子勝久(あまこかつひさ)は、
勝久「城から逃げるなど、武士の恥辱である。逃げるくらいなら討死を選ぶ!」
その勝久の姿を見た山中鹿介(やまなかしかのすけ)は秀吉の使者に、
鹿介「我らは勝久様と共にある。秀吉様にこれまでの好意、感謝いたすと伝えよ。」
山中鹿介
秀吉の陣では黒田官兵衛(くろだかんべえ)が進言していた。
官兵衛「殿(秀吉のこと)、滝川様、丹羽様、明智様が毛利軍に備えて三日月山に布陣してきました。我らも動かねばなりませぬぞ。」
秀吉「しかし官兵衛…わしは勝久や鹿介を見捨てるのは…辛いのだ!」
官兵衛「仕方ありませぬ。毛利の布陣は兵を温存しておりまする。ここから先の織田との本格的な戦に備えております。」
秀吉「……官兵衛…高倉山より陣を退く…」
秀吉は泣いていた。
羽柴軍は高倉山から書写山(しょしゃざん)に陣を移すために軍勢を動かした。
その軍勢を元春は見逃さなかった。
元春「討て!!」
バンッ!!
毛利の鉄砲隊が退く羽柴軍を追撃、さらに毛利軍は襲撃を始めたのだ。
元春「攻めよ!!逃すな!!」
秀吉「ひぃぃ〜、逃げろ!」
官兵衛「退け!退け!」
毛利軍の攻めに羽柴軍は大きな打撃を受けた。
この時、毛利軍の武将、玉木吉保(たまきよしやす)が読んだ歌が残っている。
夏山に立てる羽柴の陣なれば
秋風吹けば散り失せにけり
秋は毛利の本拠地、安芸のことだね
上月城の尼子勢は完全に取り残されたのだ…
つづく…
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