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元春は義久を庭のある居間に移して会った。
義久「久しぶりに外を見ました…ありがたい。」
元春「義久殿、率直に聞き申す。こないだの火事騒動の時、ここに現れたのは、尼子の旧臣か?」
義久「…はい、忍びである。三郎と申す古くから尼子に仕えていた鉢屋衆(はちやしゅう)。」
元春「鉢屋…尼子経久(あまこつねひさ)殿が月山富田城を奪取した時に功のあった忍び衆と聞いておる。その三郎は何を申された?」
義久「わしをここから連れ出そうとしたのだ。今、出雲を騒がしている尼子再興軍に引っ張ろうとしたかったのだろう。」
元春「やはりか…義久殿は行かなかったのか?逃げようと思えば、その騒動で逃げれたのでは?」
義久は空を見上げて、ひと息ついた。
義久「断った。」
元春「断った⁉︎再興軍に合流しようとは思わぬのか?」
義久「わしは先の月山富田城での戦で家臣や民を苦しめた。あの苦しみ…もう戦などしたくない。元春殿、わしは今、あの空のように澄んだ気持ちになりたいのだ。今さら尼子を再興して澱んだ気持ちになりたくない。」
元春も空を眺めた。
義久「元春殿、わしは毛利殿に平和を託したのだ。」
元春「わかり申した。ところで…三郎は我が兄、隆元(たかもと)暗殺に関わっているのでは?」
義久「…隆元殿を亡き者にしたのは三郎であろう。どんな手段を取ったのかはわからぬが…三郎に命じたのは山中鹿介(やまなかしかのすけ)。」
山中鹿介
元春「鹿介!!」
義久「されど鹿介に命じたのはわしだ。窮地に追い込まれ、何とかしたいと思い鹿介が動いたのだ。」
元春「……義久殿、戦の最中は誰しも何とかしたいと思う。正直に話してくれて礼を申す。義久殿の願い、平和な空を作り申す。」
「よし!!」
元春は馬上で義久の言葉を思い出し気持ちを引き締めた。
一方、尼子再興軍は月山富田城は攻略できず、その代わりに出雲国内の16もの城を攻略したのだ。
しかし、毛利方の抵抗、味方である隠岐為次(おきためつぐ)の反乱で時間を費やしてしまったのだ。
鹿介は焦っていた。
鹿介「思うようにはいかぬ!!早く月山富田城を落とさねば!!」
焦る鹿介はさらに焦った。毛利軍本隊が出雲に入った報せがきたのだ…
つづく…
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