猛将親父 〜第34話 光らぬ蛍〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

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目次




天下を競望せず…


わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。




天文23年(1554年)9月…

陶晴賢(すえはるかた)は石見国の吉見正頼(よしみまさより)の三本松城(さんぼんまつじょう)攻めの陣で怒っていた。


三本松城跡


晴賢が怒るのも無理はなかった。反旗を翻した毛利元就(もうりもとなり)の軍が周防国に侵入し、晴賢の居城、若山城(わかやまじょう)近くまで姿を見せていたからだ。


コアラ晴賢さん留守の周防で陶軍と毛利軍は小競り合いをしていたんだよ



晴賢は家臣の江良房栄(えらふさひで)に今後を話していた。

晴賢「くそっ!元就め!わしが動けぬのを見越して好き勝手しおって!」

房栄「殿(晴賢のこと)、ここは吉見と一時和議をして毛利討伐に軍勢を向けましょう。」

晴賢「和議⁈ 正頼が和議などするのか?」

房栄「調べたところによると、三本松城内の兵糧が尽きかけているのです。この機を逃さず和議を結ぶのです。」

晴賢「さすが房栄、調べがついておる。よし!ここは一時和議だ。ただし、こちらが優勢な条件で和議するのだぞ。」

房栄「では早速に!」


晴賢は正頼との和議を結ぶことを決めた。さらに家臣の宮川房長(みやがわふさなが)に兵3,000を与えて先行して進軍させた。





その頃、毛利軍は桜尾城(さくらおじょう)に本陣を置いていた。


元就は忍びの世鬼政時(せきまさとき)に陶軍の様子を調べさせていた。


元春「父上、そろそろ晴賢が来るのでは?」

元就「うむ、政時の報せでは、吉見殿と和議し、こちらに軍勢が向かっておる。」

元春「いよいよか…晴賢との戦い、望むところだ。」

元就「いや…今、来ておるのは晴賢の家臣、宮川率いる軍勢だ。その数は膨れ上がって7,000になっておる。」


コアラ宮川房長の軍勢は途中の参戦する軍や一揆勢を加えたんだ

元春「7,000!こちらは…3,000。父上、ここは奇襲しかありませぬ。」

元就「うむ、桜尾城は籠城には向かむ。奇襲をかけよう。」





宮川軍は桜尾城を見下ろす折敷畑山(おしきばたやま)に布陣した。


折敷畑山


元春は小早川隆景(こばやかわたかかげ)とともに夜陰に紛れて出陣した。



元春「皆、静かに参れ!」

隆景「兄上、お静かに…」



夜は静かではあるが、蛍が舞っていた。

隆景「我らが通ると蛍が光らず逃げてますな。」

元春「隆景、蛍に気を取られてどうする⁉︎…ん、隆景、あれを見よ。」




隆景「行く先に蛍が光ってますが…あの辺りは蛍が光っておりませぬ。」

元春「…敵も伏兵を忍ばせておるぞ。だから蛍が光っておらぬのだ。ここは一時下がろう。」




元春、隆景は本陣まで下がった。


元就「2人とも、よく気付いた。敵も奇襲に備えていたようだ。」

隆景「蛍が教えてくれました。」

元春「ここは奇襲のやり方を変えねばなりませぬ。」





元就は策を練り直したのだ…







つづく…





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