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天下を競望せず…
わしは吉川元春(きっかわもとはる)の三男、広家(ひろいえ)です。
天文18年(1549年)2月、毛利元就(もうりもとなり)は2人の息子、元春と小早川隆景(こばやかわたかかげ)を連れ、山口の大内義隆(おおうちよしたか)の元を訪れていた。
義隆「元就、以前話のあった隆元(たかもと)の嫁のことだが…」
元就「御館様(義隆のこと)にはお手数をおかけします。」
義隆「入れ!」
そこへ入ってきたのは大内家の重臣、内藤興盛(ないとうおきもり)と、ひとりの姫であった。
内藤興盛
元就「これは内藤殿、そちらの姫は内藤殿の娘御…」
興盛「我が娘、あや…今は御館様の養女です。」
あや「お初にお目にかかります。」
義隆「あやを隆元の嫁にどうだ?」
隆景「なんと!?兄は大内家の姫を嫁にできるのでございますか!?」
義隆「そうだ、隆景。嬉しいであろう。」
隆元はあやを正室に迎えることになった。
その席で元春はソワソワしていた。
義隆「元春、いかがした?」
元春「…陶隆房(すえたかふさ)殿はいずこにおられますか?」
陶隆房は大内家の重臣であるが、その席にいなかった。代わりにいたのは大内家の文治派・相良武任(さがらたけとう)であった。
義隆「隆房は向こうの庭で剣術の稽古をしておった。そうだ、元就。元春と隆房を義兄弟になってはどうだろう?」
武任「元春殿も陶殿も武に通じた強い人物。それはよいお考えですな。」
元春「陶殿に会ってきてよいですか?」
義隆「おぉ、気が早いの。よいぞ…」
元春は義隆が話し終わないうちにその席を出ていった。
元春は隆房のいる庭に行くと、
隆房が太刀を抜き、見つめていた。
その表情は鬼気迫るものであった。
元春は隆房に怖いものを感じた。
元春「…戦が始まるのですか?陶殿。」
隆房「う…これは元春。今や吉川家を継がれて、小童だった時が懐かしい。」
元春「一太刀いかが?」
元春は太刀を抜いた。
隆房「…うむ。参れ。」
カツッ!ザツッ!
2人は激しく太刀を打ち合った。
隆房「やるの!あの小童がここまで大きくなったか!」
元春「陶殿もさらに強い!」
2人は離れた。
隆房「…元春、わしと戦に出ぬか?」
元春「戦?相手は尼子(あまこ)ですか?」
隆房「いや…御館様だ。」
元春はその言葉に驚いた…。
つづく…
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