世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
永正4年(1507年)4月、細川政元(ほそかわまさもと)は兵を率いて丹後攻めに出陣した。
養子の細川澄之(ほそかわすみゆき)、細川澄元(ほそかわすみもと)、重臣の赤沢朝経(あかざわともつね)、香西元長(こうざいもとなが)、三好之長(みよしゆきなが)ら大挙して若狭の武田元信(たけだもとのぶ)支援すべくの出陣だった。
丹後国の一色義有(いっしきよしあり)を征伐するんだね
政元の姿を忍びの紗奈(さな)は複雑な思いで見送っていた。
出陣の前日…
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政元「わしはもう時期死ぬのだろう…だから斬られる夢を見るのだ…」
紗奈「殿も、私を同じ夢を見ておられましたか…」
政元「世はなかなか治まらぬ。紀伊、大和では畠山(はたけやま)や国人衆が騒ぎ、此度の丹後、阿波の細川成之(ほそかわしげゆき)の老ぼれもいつ裏切るかわからん状況、さらに周防の大内義興(おおうちよしおき)のところには足利義尹(あしかがよしただ)が京奪還を狙って潜んでおる。」
政元「我が京兆家内部も家臣同士で争う始末…わしの不徳の致すところなれど…こんな混乱な世、誰が望んだ!?」
紗奈「殿…」
政元は紗奈の前で本音をさらけ出した。
政元「わしは父、勝元(かつもと)から"この子がいれば細川京兆家は安泰"と言われたが…応仁の乱で混乱した世をどうして安泰にできるものか!?何が安泰なのか!?わしにはわからぬ!」
政元は目に潤んだものを見せた。そして紗奈を抱きしめた。
紗奈「殿…女を抱いては修験道の妨げになるのでは…」
政元「もうよい、わしは混乱した世から逃げたいがため、修験道にのめり込んだ。されど…それでも、わしの心は変わらぬ。」
紗奈は政元の腕を強く握り締めた。
政元「紗奈…わしの本音、そなたにしか言えぬ。こんなわしは混乱した世を治めねばならぬ。わしは突き進むしかないのだ。」
紗奈「殿、私は見守っています。殿の命は私が守ります。」
政元「うむ…。」
政元は紗奈を久しぶりに抱いた。
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丹後は内紛続きだったが、政元軍の大挙しての進軍に淡きふためいた。
5月、澄之、香西元長の軍は石川直経(いしかわなおつね)の加悦城(かやじょう)を攻めた。
そして武田元信、赤沢朝経の軍は一色義有に攻撃を開始したのだ。
丹後側の激しい抵抗にあい、武田軍は死者を多くだし、なかなか一色軍を落とせなかった。
そんな中、京より政元に帰京を命じる勅旨があった。
勅旨って天皇の意思なんだよね
帰京は後柏原天皇(ごかしわばらてんのう)様からの命だったのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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