世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
永正元年9月、薬師寺元一(やくしじもとかず)は淀古城(よどこじょう)で捕らえられた。
元一さん、細川澄元(ほそかわすみもと)さんを京兆家の新たな当主にしようと挙兵したんだよね
元一は自らの弟、薬師寺長忠(やくしじながただ)に捕らえられ、京へ送られた。
元一が捕らえられた淀古城の一室には吹き矢が落ちていた。
京に送られた元一は細川政元(ほそかわまさもと)の館に入った。
政元は修験道の念を唱えていた。
元一は紗奈(さな)に政元の修行場へ連れられた。
政元「…来たか」
元一「早く殺せ!」
政元「そうしてやるが…お前はわしの寵愛を受けていながら、なぜ阿波へ付いたのだ?」
元一「阿波…?何のことだ?」
元一は阿波守護家、細川成之(ほそかわしげゆき)に付いたことを政元は知らないと思っていたのだ。
政元「今さら、とぼけなるな。わしは天狗ぞ。全てお見通しだ。」
元一「貴様のその天狗遊びは政を危うくする…そのために澄元様に当主になって頂き政を正すためだ。」
政元「遊び?わしは遊びをやっておると?…お前、淀古城で動けなくなったであろう?そこを捕らえられたのであろう?」
元一「それを…なぜ…?」
政元は呪文を念じる声が大きくなった。
元一「まさか…わしは貴様に念じられたと言うのか…」
政元「わかればよい…武士らしく切腹をさせてやろう。」
元一「…政元、貴様を地獄で待っているぞ。」
政元「紗奈、元一を連れていけ。」
紗奈「…はい。」
紗奈の懐には吹き矢が入っていた。
その後、元一は自害した。
元一の残した辞世の句は…
地獄には よき我が主の あるやとて 今日おもひたつ 旅心かな
元一は『我が主』を『若衆』と読むように家臣に伝えた。
この辞世の句は政元に宛てたもので、「地獄にも良い若衆がいてお前にとっても居心地がいいぞ」と言う不吉な句だったのだ。
政元さんと元一さんは衆道、つまり男色関係だったらしいんだ
政元はこの句を聞き、『愚か者め…』とつぶやいた。
一方、元一と一緒に政元に反旗を翻した赤沢朝経(あかざわともつね)も捕らえられたが、
政元「朝経、そなたの武勇に免じて、今回だけは許してやる。」
朝経「あっ…ありがたき幸せにございます。」
政元「畠山尚順(はたけやまひさのぶ)がまた侵攻しようとしておる。畠山を蹴散らすのだ。わかったな!」
こうして政元は薬師寺元一の反乱を鎮圧した。
しかし、阿波守護家の影は残ったままであった。政元は、
『討たねばなるまい…』
だが、政元の思うようにはいかなかったのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
にほんブログ村
宜しければバナー⬆️をクリックしてね