天狗将軍 〜第98話 天狗の念〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

前回まではこちら⬇️



世は争乱…

我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。




永正元年9月、薬師寺元一(やくしじもとかず)は淀古城(よどこじょう)で捕らえられた。

淀古城跡(現在の京都府京都市伏見区辺り)


コアラ元一さん、細川澄元(ほそかわすみもと)さんを京兆家の新たな当主にしようと挙兵したんだよね



元一は自らの弟、薬師寺長忠(やくしじながただ)に捕らえられ、京へ送られた。

元一が捕らえられた淀古城の一室には吹き矢が落ちていた。





京に送られた元一は細川政元(ほそかわまさもと)の館に入った。

政元は修験道の念を唱えていた。



元一は紗奈(さな)に政元の修行場へ連れられた。

政元「…来たか」

元一「早く殺せ!」

政元「そうしてやるが…お前はわしの寵愛を受けていながら、なぜ阿波へ付いたのだ?」

元一「阿波…?何のことだ?」

元一は阿波守護家、細川成之(ほそかわしげゆき)に付いたことを政元は知らないと思っていたのだ。

政元「今さら、とぼけなるな。わしは天狗ぞ。全てお見通しだ。」

元一「貴様のその天狗遊びは政を危うくする…そのために澄元様に当主になって頂き政を正すためだ。」

政元「遊び?わしは遊びをやっておると?…お前、淀古城で動けなくなったであろう?そこを捕らえられたのであろう?」

元一「それを…なぜ…?」


政元は呪文を念じる声が大きくなった。


元一「まさか…わしは貴様に念じられたと言うのか…」

政元「わかればよい…武士らしく切腹をさせてやろう。」

元一「…政元、貴様を地獄で待っているぞ。」

政元「紗奈、元一を連れていけ。」

紗奈「…はい。」


紗奈の懐には吹き矢が入っていた。






その後、元一は自害した。

元一の残した辞世の句は…

地獄には よき我が主の あるやとて 今日おもひたつ 旅心かな

元一は『我が主』を『若衆』と読むように家臣に伝えた。


この辞世の句は政元に宛てたもので、「地獄にも良い若衆がいてお前にとっても居心地がいいぞ」と言う不吉な句だったのだ。


コアラ政元さんと元一さんは衆道、つまり男色関係だったらしいんだ


政元はこの句を聞き、『愚か者め…』とつぶやいた。




一方、元一と一緒に政元に反旗を翻した赤沢朝経(あかざわともつね)も捕らえられたが、


政元「朝経、そなたの武勇に免じて、今回だけは許してやる。」

朝経「あっ…ありがたき幸せにございます。」

政元「畠山尚順(はたけやまひさのぶ)がまた侵攻しようとしておる。畠山を蹴散らすのだ。わかったな!」





こうして政元は薬師寺元一の反乱を鎮圧した。


しかし、阿波守護家の影は残ったままであった。政元は、

『討たねばなるまい…』


だが、政元の思うようにはいかなかったのだ…。






つづく…
コアラ次回をお楽しみに〜




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