世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
細川政元(ほそかわまさもと)は野州家の細川政春(ほそかわまさはる)と館の縁側で庭を見ながら話をした。
政春「わしは先ほど京兆家の後継ぎは細川の血筋と申したが…政元殿の本心はわかっておる。」
政元「わしの本心とは?」
政春「阿波守護家のものには京兆家を継がせたくない…それが本心。」
政元は政春も同じ考えがあると思った。
政元「阿波守護家は前将軍、足利義尹(あしかがよしただ)に繋がっていた過去がある。今はないと言うが心から信じてはおらん。」
今は周防に逃げてる義尹さんだね
政春「では聡明丸(そうめいまる)殿にした訳は?」
政元「この荒れた世を武家が治めるには、結局武力に頼る。それでは本当に世は治まらぬと思うのだ。公家出身の聡明丸なら違った見方ができよう。」
そこへ若い武士が庭に入ってきた。
政春「これは、我が嫡男・高国(たかくに)でごさる。」
政元「知っておるぞ、高国。立派になられた。」
高国「政元様、お久しぶりにごさりまする。」
政春「高国には今、聡明丸殿と手合わせをしてきたところ。高国、どうであった?」
高国「剣術の腕は大したもの。我が本気になっても勝てたかどうか…」
政元「ほぉ…」
高国「それより剣術の武力に頼らず、世を治める手立てを考えている様子でした。我は感じ入りました。」
政元は聡明丸のそんな姿を見たことがなく、高国の言葉に驚いていた。
政春「聡明丸殿は政元殿の本心に近づいて成長していますな。」
政元「うむ、されど阿波守護家の成之(しげゆき)は黙っていまい。」
政春「我ら野州家は長年、京兆家に仕えし家。政元殿の仰せなら聡明丸殿をお支え申す。」
政元は庭にいた高国の肩に手をやり、
政元「そなたは将軍、義澄(よしずみ)様の前名の一字を貰うほどの立派な武士だ。いざという時は京兆家を正してくれ。」
高国「はい!」
高国さんがいつ元服し名を高国としたかはわからないけど義澄さんが義高と名乗ってた時期に元服したと思うんだ
政元は聡明丸の元へ行った。
政元「剣術の稽古はしておるようじゃな。」
聡明丸「父上の仰せでございますから…。」
政元「わしはそなたを後継ぎにしたいと思っておるが…」
その時、政元の言葉を遮るように聡明丸が話し始めた。
聡明丸「私は何がなんでも後継ぎになりたいとは思ってはおりませぬ。今日、阿波守護家の方々がお見えになられていましたが…そちらの方がよろしいのでは?」
政元「違う!!」
政元は大きな声を張り上げた。
政元「争いを好むものに後を任せたくはないのだ…聡明丸、周りは納得するほどの気概を見せよ。それがわしの望みだ。」
政元は一旦聡明丸を嫡男から外し、後継ぎのことを白紙にした。
そして文亀3年(1503年)5月、政元は阿波守護家の六郎(ろくろう)を養子に迎えたのだった…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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