世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
明応2年(1493年)4月25日、河内では京の政変により将軍職を廃された足利義材(あしかがよしき)は畠山政長(はたけやままさなが)が自害した後、細川政元(ほそかわまさもと)の家臣、上原元秀(うえはらもとひで)の陣に投降、降伏した。
義材『…一体何が起きたのだ…誰もわしの元からいなくなった…』
政長の子で紀伊より出陣し、堺で赤松政則(あかまつまさのり)の軍と衝突していた畠山尚順(はたけやままさのぶ)は命かながら紀伊に落ち延びていった。
この時、尚順を逃したことが政元に一抹の不安となる。
義材の身柄は京に送られて龍安寺(りょうあんじ)に幽閉された。
京では政元によって義材一派は一掃されていた。義材の側近として隆盛を誇っていた葉室光忠(はむろみつただ)も捕らえられていた。
義材の側近として諸大名との取次をし、権力を欲しいままにしていた光忠を政元が許すわけもなく…
光忠は処刑されたのだ。
戦は終わり、政元は紗奈(さな)を抱きながらひと息をついた。
政元「一段落ついた。紗奈も大儀であった。」
紗奈「義材様は今後、どうされるのですか?」
政元「うむ…前将軍を処刑にすれば世のそしりを受けよう…わしが義材様と会おうと思う。」
紗奈「これからは殿が政を治めるのですか?」
政元「すぐには、そうはいくまい。富子(とみこ)様も伊勢貞宗(いせさだむね)殿も立てねばならぬ。」
紗奈「富子様が義材様を暗殺する噂があります。」
政元「そうか…急がねばの。」
政元は龍安寺の石庭で義材と会った。
政元は平伏した。
義材「……まだ、わしに平伏してくれるのか?」
政元「前将軍ですから…」
義材「わしをどうするのだ?斬るのか?」
政元「…義材様、この庭の石はいくつありますか?」
義材「ん…石か…綺麗な庭だな…14個だな。」
政元「義材様の目には14と見えますか…ここには15個の石が置いてあります。」
義材「15?…何度数えても14だぞ。」
政元「15は完成されたもの。しかし、そう簡単には完成はできない…ということをこの石庭は物語っています。」
義材「わしの政も完成できなかった…そなたが完成させるのか…。」
政元「もう足利将軍家に完成させることはできませぬ…新たな政を作ります。」
義材「…わしは…認めぬ。認めぬぞ。」
政元「……」
政元は義材を龍安寺から家臣の上原元秀の館に移した。
政元「義材様は小豆島に流す。そこで余生を過ごしてもらうのだ。」
将軍を臣下である政元がすげ替える…これにより将軍は傀儡化し、力を失ったのだ。
後の世では明応の政変により戦国時代が始まったと言われている。
明応2年(1493年)6月29日、京は嵐にみまわれていた。
この嵐に乗じて一大事が起きた。
幽閉されていた義材がいなくなったのだ…。
つづく…
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