世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
「将軍、足利義材(あしかがよしき)様を追放いたす。」
細川政元(ほそかわまさもと)は上杉房定(うえすぎふささだ)にはっきりとそう言った。
房定さんは越後国の守護だね
房定「ほぉ…追放するのか…将軍はいらぬと申すか?」
政元「もはや足利氏に将軍として世を治める力はありませぬ。先の応仁の乱を見ても、それは明らか。東国においても、足利氏は大乱の種にしかなっておらぬ。」
東国で起こった大乱って享徳の乱なんだ。応仁の乱より早くに起きて、終息するまで28年もかかったんだよ。
房定「確かに東国での享徳の乱は足利成氏(あしかがしげうじ)様が原因だった…では足利氏を排除すると?」
政元「いや…傀儡にいたす。かつての鎌倉幕府の北条氏のように将軍はお飾りにおいて置きます。」
鎌倉幕府は源氏の将軍が滅んだ後、将軍を置いて北条氏が政を仕切ったんだよね。
房定「なるほど…」
政元「時代は変わった…新たな政の形を作らねば、世は争乱が続きます。」
房定「…それで、政元殿はわしに何をせよと申すのか?」
政元「房定殿は見ているだけでよいのです。」
房定「わしに手を出すなと言うことですな?」
政元「はい、東国で権力があるのは房定殿。今まで通り、越後から東国を見張ってて頂きたい。」
房定「ふっ…はははっ」
房定は大笑いをした。
房定「わかり申した。事がなるまでは、政元殿の言うようにいたそう。その前にひとつ聞きたい。伊豆の堀越公方の足利政知(あしかがまさとも)様はいかがいたす?」
政元「これも利用いたすが…わしが手を出さずとも、いずれは消えることになるでしょう。」
房定「確かにな…しかし、大胆なことを思いついたものだ。まぁ、しばらくは東国でゆるりとなされ。」
政元「はい、この後は奥州にも行きたいと思っておりまする。」
房定「奥州?」
政元「政とは関係なく、奥州の山々を見たいのです。」
房定はこの時の政元が何を考えてるか、計ることはできなかった。
政元らは旅の疲れを房定の館で癒した。
しかし…その報せは突然入った。
延徳3年(1491年)4月…
房定「政元殿、伊豆の足利政知様が亡くなられた!」
政元「なんと!」
房定「病のようだ…後は嫡子の潤童子(じゅんどうし)が継ぐようだか…」
政元も房定も伊豆でひと騒動起きる予感がした。
さらにもうひとつ報せが入った。
それは政元の忍び、紗奈(さな)からもたらされた。
紗奈「殿、我が忍びからの報せで京の御所様(義材のこと)が帰京せよと申しておりまする。」
政元「わしに帰ってこいと?なぜだ?」
紗奈「近江の六角征伐をするようです。」
政元「六角征伐…またか…」
伊豆と京、足利氏がまた事を起こし出したのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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