世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
長享2年(1488年)夏、我は血を吐き倒れ、床に伏した。
細川政元(ほそかわまさもと)は医師に我の病状を聞いたようだ。
義尚「政元…我のこと、医師は何と言っておる?」
政元「…今は安静にすることが大事です。」
義尚「されど、六角高頼(ろっかくたかより)の兵がこの鈎の陣(まがりのじん)をかく乱しておる。放ってはおけない。」
政元「御所様には大名を初めとする軍勢がおりまする。」
義尚「大名は…本気で戦ってあるまい…さらに我が奉公衆も逃げ腰…我がいなければ…」
政元「…私が叱咤します。」
甲賀に逃げた高頼は甲賀の武士に命じ、かく乱戦法で我が陣まで襲ってきていた。
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政元は奉公衆に叱咤した。
政元「陣近くまで襲われるとは、貴様らは何をしておる!?」
我の側近でもある結城尚豊(ゆうきひさとよ)が反論した。
尚豊「敵は追いかければ逃げるばかり…戦にならぬ。」
政元「尚豊、そなたは御所様から近江守護に任じられたのであろう!守護が国を守れぬでどうする⁈ 戦にならぬと諦めるとは何ごとか!」
そこへ我が現れ、
義尚「政元…もうよい。尚豊らは下がれ。」
尚豊と奉公衆は下がった。
政元「御所様、起きてはなりませぬ。」
義尚「…すまない。だが放ってはおけなかったのだ。」
この時、我は居ても立ってもいられず酒を飲んでいた。
政元「御所様!酒を飲んではなりませぬ!医師から御所様には酒の害が病に影響しておると言われたのです!」
義尚「政元…酒は我の唯一の楽しみなのだ。酒は止められぬ。」
政元「なりませぬ!」
鈎の陣は富樫政親(とがしまさちか)が加賀一向一揆のために消え、尾張の斯波義寛(しばよしひろ)も陣を払い、奉公衆と尚豊らが内輪揉めを起こし、膠着状態に陥っていった。
富樫政親さんは加賀一向一揆で自害に追い込まれたんだよね。さらに斯波義寛さんは朝倉さんと揉めていて、理由をつけて国に帰っちゃったんだ
こんな状態でも我は隠れて酒を飲んでいたのだ。
政元はこの状態を脱しようと動き出した。
政元「我が細川の力を持って、この戦を終わらせる!」
だが、これが政元に悲劇をもたらすことになったのだ…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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