我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
文明17年(1485年)12月、ついに山城国の国人衆が立ち上がった。
そして南山城に陣取っていた畠山政長(はたけやままさなが)軍と畠山義就(はたけやまよしなり)軍に要求を突き付けたのだ。
・自今以後、両畠山方は国中に入るべからず
・本所領供、各元に如くたるべし
・新関、一切立つべからず
この要求に政長は、
政長「なんだこれは⁉︎ わしはこの地の守護にならん武家だぞ!」
一方の義就は、
義就「国人どもはわしと戦したいのか⁈」
ところが、この要求は国人だけでなく、山城国の民、百姓の要求であり、出ていかねば一戦交える覚悟だったのだ。
南山城中の国人、民、百姓らが集まると両畠山軍を超える数…
「出ていけ!」
「俺たちの暮らしを邪魔する奴らはいらん!」
「俺たちの国は俺たちで治める!」
ついに政長、義就とも要求を飲み、南山城から撤退していったのだ。
国人衆の一揆が武家を追い出すとは、まさに下剋上。
義就は河内国に帰り、政長は京に戻ったのだ。
このことで細川政元(ほそかわまさもと)は我が母・日野富子(ひのとみこ)のところへ呼ばれていた。
富子「まさか、民が両畠山を追い出すとは…」
政元「国衆が集まれば恐ろしい力になります。侮れません。」
富子「政長は山城国を自らの領国としようとしていましたから、それはそれで好都合でした。」
政元「はい、山城国は名目上、伊勢貞陸(いせさだみち)を置こうと考えております。」
富子「貞陸は伊勢貞宗(いせさだむね)の子。貞宗は義尚の養育係。将軍家とも繋がりのある伊勢なら大丈夫でしょう。」
政元「南山城には我が忍びを放って報せは入ってくるようにしてあります。」
富子「忍び…そなたの乳母であり補佐役の紗奈(さな)ですね。」
政元「はい、こちらに控えております。紗奈、こちらへ…」
紗奈「南山城は三十六衆と呼ばれる国人が中心となり自らで治め始めました。」
政元「しばらくは様子を見ることといたします。」
富子「ところで…政元殿。そなたはまだ独り身。早く嫁を取り後継ぎをもうけなされ。」
政元「はぁ…」
富子「畠山を見なされ、後継ぎのことでここまで揉めています。斯波家もしかり。細川は亡き勝元(かつもと)殿がそなたを後継ぎとしっかり決めたために争いもありません。後継ぎ争いは御家を弱体化させます。」
政元「…それは承知しております。」
富子「政元殿は女嫌いなのですか?」
政元「それはありませぬ…」
富子「紗奈、政元殿が女を知らぬのであれば…」
そこで富子が言い終わる前に紗奈が遮るように言った。
紗奈「承知しております。私にお任せくださりませ。」
その言葉を聞き、政元は天を仰いでいたのだ…。
つづく…
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