世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
細川政元(ほそかわまさもと)が摂津の国人一揆を鎮圧し、京へ帰ってきた。
我は政元を小川御所へ呼んだ。
政元「御所様、細川軍はただいま戻りました。」
義尚「待ちかねたぞ。事は思いの通りになったようだな。」
政元「はい、政長殿は怒っておりましたが…これ以上畠山の争いには巻き込まれたくありませぬ。」
義尚「積もる話もあるが…今宵我に付き合ってほしいのだ。」
政元「どちらへ参るのですか?」
義尚「恥ずかしい話だか…徳大寺公有(とくだいじきんあり)殿の館へ忍ぶ…こちらの姫に会いにいくのじゃ。」
政元「女…ですか…私はあまり興味が…」
義尚「頼む!政元にしか頼めぬのじゃ、なっ?」
政元はしぶしぶ了解してくれたようだった。
その夜、我と政元は徳大寺の館に入った。
公有には話を事前に話を通しておいたので、すんなり事は運んだ。
我が気に入っている姫は公有の娘で名を政子(まさこ)という。
政子「ようお越し下さりました。今宵は御ゆるりしてぐださりませ。」
義尚「政子姫、こちらは我が家臣の細川政元じゃ。」
政元「細川政元でごさります。」
酒と魚を味わいながら、我は鼻の下を伸ばしていたと後で政元に言われてしまった。
翌日…我の元に母・日野富子(ひのとみこ)がやって来た。
富子「義尚、昨晩はどちらへ行かれました?」
義尚「どちらへって…」
富子「政元を連れて徳大寺公有殿の館へ行かれましたね。」
義尚「知っておるではないですか…それが何か?」
富子「もう行ってはなりませぬ。あの娘にも今後、会ってはなりませぬ。」
義尚「なぜだ!?母上にそこまで言われたくないわ!」
富子「公有殿の娘、政子姫は…大御所様の側室です!」
我は驚いた。まさか父の側室だとは思いもよらぬことだったからだ。
義尚「…まさか…政子姫が…」
富子「事実です。…義尚、そなた、関係ももったのですか?」
義尚「かまわぬ!政子姫は我の側室にする!」
富子「なりませぬ!親子で1人の姫を取り合うなど…政子という名は大御所様が名付けた名です…とんでもない女です!」
義尚「父の名を…それでもよい!我は政子姫が好きなのじゃ!」
富子「目を覚ましなされ!あの女は既に京にはおりませぬ!」
義尚「なんと!?母上が追い出したのか!?」
この時、我は正気を失った。
義尚「やめてやる!将軍などやめてやるわ!」
バサッ!
富子「義尚!何てことを!」
我は髷を切ったのだ…。
つづく…
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