世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
文明12年(1480年)、丹波国で一宮氏(いちのみやし)に拉致、幽閉された細川政元(ほそかわまさもと)は一宮氏の館の1室で年を越した。
一宮氏は丹波国の守護代、内藤元貞(ないとうもとさだ)と交戦状態に入った。
元貞は細川氏の一族の細川勝之(ほそかわかつゆき)を担ぎ、細川氏の家臣、庄氏(しょうし)や安富氏(やすとみし)と一緒に一宮氏を討伐しようとしていた。
政元は閉じ込められた部屋でどうすることもできなかった。
政元『…わしは…わしの存在は何なのだ!?我が細川も下剋上なのか…』
政元の元に一宮氏の一宮賢長(いちのみやかたなが)が訪れた。
賢長「ご機嫌いかがですか?」
政元「外はどうなっておる?」
賢長「内藤元貞は細川勝之様を擁立し、我らに対抗しています。」
政元「勝之…元は我が父、勝元(かつもと)の猶子で一時期は後継ぎ候補であった。いまさら勝之を担ぐとは…我が細川も舐められたものだ。」
賢長「我が方には政元様がいらっしゃる。必ず勝ちまする。」
政元「わしは…己の無力に悔いておる。父がいれば、こんなことは起きまい。」
賢長「…政元様はどうされたいのですか?」
政元「賢長、京の荒れた様子を見たか?今の幕府に京を美しくできると思うか?」
賢家「…それは…」
政元「わしの望みは京を美しくし、民の暮らしを安寧にしたい…荒れた世を綺麗にしたいのじゃ。」
賢長「民の暮らしを安寧にとは?」
政元「この丹波や阿波、河内は田畑が荒れ、民が疲弊しておる。武士同士が争い、一揆が起こり…安寧には程遠い世じゃ。民が安心して田畑を耕せる世にしたいのじゃ。争ってどうなる?」
賢長「…争いを止めよと?」
政元「そうだ。わしはまだ力はないが…必ず、そのような世にしてみせる!」
賢長は黙って立ち上がり、部屋を出た。
賢長『民が安心できる世…』
3月になり、元貞の八木城へ賢長が訪れた。
賢長は城の門前に立ち、叫んだ。
賢長「一宮賢長だ!元貞殿に会いに来た!手土産もある!開門!」
そこへ元貞がやってきた。
元貞「内藤元貞だ、手土産とは?」
賢長は槍にくくりつけてあった白い布を突き出した。
賢長「一宮宮内大輔(いちのみやくないだゆう)の首だ!」
元貞「何っ⁈」
白い布の中は大輔の首が入っていたのだ…。
つづく…
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