世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
「あれは天狗?」
細川政元(ほそかわまさもと)と家臣の上原賢家(うえはらかたいえ)と紗奈(さな)は崇徳上皇(すとくじょうこう)様の御陵を後にし、下山する途中に白装束姿の2人組に出会した。
紗奈「あの方々は山伏です。」
山伏の1人が声をかけてきた。
「下山ですね、我らは日本の霊山を旅するものです。私は西念(さいねん)、こちらは等狢(とうかく)と申す。」
賢家「我らは旅の商人です。」
等狢「下山ということは、崇徳上皇様の御陵に行かれてましたね?我らも今から向かうところなのです。」
政元は山伏の姿が今まで会った天狗と似ており、気になっていた。
政元「つかぬ事を聞きますが…天狗を見たことはございますか?」
西念「天狗…?」
政元「天狗は山伏の姿と似ていると思いまして。」
西念「我らは会ったことはないですが…」
等狢「あっ…確か丹波国(たんばのくに)で見たと言うものがいました。我らと同じ山伏です。」
政元「丹波…」
賢家「丹波なら、この後、我らが向かうところですね。」
西念「天狗を探しているのですか?」
政元「いや…そうではないが…そちらはこれからどちらに?」
西念「我らは御陵をお参りした後、伊予国(いよのくに)の霊山、石鎚山(いしずちさん)に向かいます。」
政元「もうひとつ聞きたいのですが…山伏は山で厳しい修行を積み、悟りを開くと聞きます。そうなると人とは違う力を得ることができるのでしょうか?」
等狢「…我らは山の自然の霊力を身につけることが目的ですが、それがどんなものか、まだわかりかねます。」
政元は天狗の力は山伏から来ているのではと考えていたようだ。
政元らは山伏と別れた。
山伏の西念と等狢はその姿が見えなくなるまで見送った。
西念「あれが…細川政元…丹波に向かうか…」
等狢「都合よく、事は運びそうだ。」
西念「わしは先に丹波に行く。そなたは奴らを見張るのだ…。」
そう言うと2人は姿を消したのだ。
政元らは讃岐から再び阿波に入り、畿内に渡った。
もう季節は秋になっていた…。
つづく…
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