世は争乱…
我は室町幕府、第9代征夷大将軍・足利義尚(あしかがよしひさ)である。
深夜、我(幼名・春王〔はるおう〕)と聡明丸(そうめいまる)は西軍の大将・山名宗全(やまなそうぜん)の館に迷い込み、宗全と会ってしまったのだ。
宗全「この童が里(さと)の子・聡明丸…」
里「はい」
宗全と一緒に居たのは聡明丸の母であり、東軍(とうぐん)の大将・細川勝元(ほそかわかつもと)の正室だった。
聡明丸は無言でただ里を見つめていた。
宗全「聡明丸、なかなかの面構えだ。そなたは山名の血も流れておるのだからな。…こちらの童は…見たことのある面だが…」
里「こちらは…」
里が言いかけた時、
「御館様!御館様!」
宗全の家臣が慌てた様子でその場に入ってきた。
宗全「なんだ?騒々しい。」
家臣「敵方がこの館周辺まで攻めてきております。」
その時、館の外から兵や馬の声が響いてきたのだ。
宗全「…うむ、すぐ参る!」
家臣「では!」
家臣は先に駆けていきました。
宗全「もう少しそなたらと語り合ってみたかったが、仕方あるまい…外の兵はそなたらを迎えに来たのであろう。」
宗全は我らの素性を見抜いていたようだった。
宗全「…そちらの童…御母上に心配をかけてはならぬ。早く帰るのだ。聡明丸、お守りするのだぞ!」
そう言うと宗全は行ってしまった。
春王「…宗全は我のことも母のことも知っておったのか…」
里「さっ、早くここから去るのです。」
聡明丸「…母上はなぜここにいるのです?」
聡明丸「…母上」
その時、
「春王様!聡明丸様!」
1人の女が塀の上から現れた。
聡明丸「紗奈(さな)!」
紗奈は聡明丸の乳母である。
紗奈「ずいぶん探しました。さぁ、お二人とも、こちらに!」
紗奈の出で立ちは軽装、まるで忍びのようだ。
我と聡明丸は室町御所に帰り、我はこっ酷く怒られたのは言うまでもない。
だか、聡明丸は父・勝元に問いかけていた。無論、母・里のことだ…
つづく…
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