諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1242年4月、我が館に鎌倉から泰時の忍び・風(ふう)が訪れました。
風「竹子様、泰時様の意思は邦仁王(くにひとおう)様です。すでに六波羅の重時(しげとき)様には伝えております。」
竹子「わかりました。殿!」
そこに我が夫・土御門定通(つちみかどさだみち)が現れました。
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定通「亡くなった土御門上皇(つちみかどじょうこう)様の思いを叶えられるぞ。重時殿とともに九条道家(くじょうみちいえ)殿の館に参ってくる。」
竹子「殿、頼みます。」
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定通と重時は九条邸に行き、九条道家に会いました。
道家「お二人揃っていかなる用ですか?」
重時「次の帝についてお話に参りました。鎌倉の推薦が入ってまいったのです。」
道家「私は次の帝は忠成王(ちゅうせいおう)様を推薦いたす。」
定通「なりませぬ!忠成王様は承久の乱を起こした中心人物の順徳上皇(じゅんとくじょうこう)の御子ですぞ!また乱が起きるかもしれませぬ!」
道家「他に相応しい方がおられるか?」
重時「鎌倉からの推薦は…亡き土御門上皇(つちみかどじょうこう)様の御子・邦仁王様です。」
道家「邦仁王…様、20歳を過ぎてるのに元服すらしておらぬ王が帝とは…」
定通「失礼ですぞ!道家殿!邦仁王様の父・土御門上皇様は鎌倉と手を携えて平和を願っていました。民も苦しまぬ平和を…争いを好む方とは違います!」
重時「道家殿…我が兄・泰時は常に公平で争いを好まない人物です。その兄がこれだけは譲れぬと伝えてきております。それだけ…先の乱や後鳥羽法皇(ごとばほうおう)のやられたことを許せぬのです。」
定通、重時の凄まじい剣幕に道家は怖気付いたのです。
道家としては縁戚に当たる忠成王様を帝にし権力を保持したかったようですが…
道家「わっ、わかりもうした。鎌倉の推薦にのっとり、邦仁王様を帝に即位して頂こう。」
私は定通から結果を聞き、ホッと胸を撫で下ろしました。
邦仁王…これが後嵯峨天皇(ごさがてんのう)様です。
泰時はこの結果を風から聞き、
泰時「これでよい。これで…」
バタッ!
泰時はその場に倒れたのです…。
つづく…
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