諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
政子(まさこ)様が泰時の母親を居間に呼びました。
泰時「あなたは…輝(てる)!」
輝さんは政子さんに仕える忍びなんだよね
政子「輝…本当の名は光(ひかり)です。元は私の侍女でした。」
泰時「光……そうではないかなって、母親じゃないかなって思ってました。しかし、以前あなたから母親のものだと言われて組紐をもらった時、わからなくなっていました…」
光「その組紐…泰時殿がずっと手首に着けているのを見て…私は嬉しかった。我が子と繋がっている気がしました。」
以前に光さんから実母のもの、実母は生きていると言われてもらった組紐だね。
光は泰時の手を握り、
光「ようやく、母としてあなたに会えて…長い間、名乗らなくて…許しておくれ。」
泰時「いえ…母上」
その時、政子様は床から起き、泰時と光に頭を下げました。
政子「泰時、光…悪いのは私です。我が夫、頼朝(よりとも)が光に懸想をし、私がそれを阻止せんと光を隠すため、生まれたばかりの泰時から離すことになったのです。」
光「政子様、それは過去のこと。それに政子様は私を守ってくれたではありませぬか。頭をお上げください。」
政子「光、あなたは長い間、私の忍びとして充分な働きをしてくれました…私は感謝しておりますよ。これから…泰時の元で…親子で暮らしなさい。」
泰時と光は政子様を床へ寝かしました。
泰時「叔母上、お体にさわります。横になってください。」
政子「ようやく長い間の胸のつかえが取れました…泰時、鎌倉を武士の世を頼みますよ。」
泰時「はい!」
政子「これで安心して頼朝様の元へ行けます…。」
1225年8月16日、政子様は亡くなりました。
享年69
政子さんのお墓は鎌倉の寿福寺(じゅふくじ)にあるんだよ。寿福寺は政子さんが創建したんだ。
頼朝様亡き後、女性ながら鎌倉を支え武士の世を支えた政子様…泰時にとっても、私にとっても偉大な叔母上でした。
大江広元(おおえのひろもと)、政子様と幕府創建以来の人物が亡くなり、泰時は自らが幕府を指導する位置に来たのです。
そこで泰時はある人物を呼び寄せました。
それは京にいた泰時の叔父、時房(ときふさ)でした…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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