諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1218年正月を過ぎ、京に来ていた政子(まさこ)様は藤原兼子(ふじわらのけんし)様と会いました。
政子様は兼子様の推挙により従三位に叙せられました。
兼子「政子殿、久しぶりですね。頼朝(よりとも)公の上洛の時でしたから…」
政子「あれは建久元年(1190年)でした。28年ぶりですね。」
兼子「あの時は平家(へいけ)を倒した源氏(げんじ)の大将がどんな方か、女人たちは色めき立ちましたね。ハハッ」
政子「まぁ、ハハッ」
政子様はこの時のことを「以前は嫉妬深く、頼朝公にやきもちをよく焼いていましたが、年老いた今はそんな気が消えてしまっていた」と私に語ってくれました。
政子「此度は兼子様にお願いがあって上洛しました…鎌倉殿(実朝(さねとも)様のこと)のことです。」
兼子「鎌倉殿は和歌もお上手で上皇様もお気に入りです。」
兼子「鎌倉殿の御台様は坊門家(ぼうもんけ)の信子(のぶこ)でしたね。仲はいかがですか?」
政子「夫婦仲はとてもいいのですが…子に恵まれませぬ。後継ぎに頭を悩ましている状態なのです。」
兼子「なるほど…将軍となる後継ぎですね。」
政子「後継ぎには高貴な方をお迎えしたいのです。御家人たちが納得する方…」
兼子「…それならば…皇族ならば誰もが納得するでしょ。」
政子「どなたかふさわしい方がいらっしゃいますか?」
兼子「上皇様の皇子で私が御養育されていただいている頼仁親王(よりひとしんのう)様です。」
政子「なんと、親王様とは。これにない方です。されど上皇様はお許しになさりますか?」
兼子「私からお許しを頂きましょう。京と鎌倉…これからも仲良くしなければなりませぬから。」
政子「まことに…」
政子様と兼子様、東西の権力をもつ女人の会談はさらに続けられました。
その頃、泰時は政子様の護衛で御所について来ていました。
泰時は御所の表で待っていました。そこに牛車が出てきました。
すると、牛車の中から…声がしました。
「止まれ」
ちょうど泰時の前で止まり、さらに牛車の中から声がしました。
「そこにいるは東夷(あずまえびす)だな。朕の宝剣は見つかったか?」
泰時「⁈」
牛車の窓が開きました。そして声の主の顔が見えたのです。
泰時「あっ、あなた様は…」
それは後鳥羽上皇様だったのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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