諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1217年暮れ、政子(まさこ)様は熊野詣でのため、鎌倉を出発しました。
その一行には泰時、そして私も入っていました。
出発前、政子様は私に言われました。
政子「竹子、あなたも連れて行きます。」
竹子「私も熊野詣でに。」
政子「京にも行きます。あなたの夫、大江親広(おおえのちかひろ)も今は京にいます。京で会えるでしょう。」
竹子「叔母上様、お心遣い、ありがとうございます。」
我が夫、親広は職務で京にいることが多かったのです。
泰時は出発に際し、将軍、源実朝(みなもとのさねとも)様に挨拶をしました。
泰時「叔母上を守り、無事、熊野に参拝してまいります。」
実朝「泰時、母上が言う熊野詣では表向きであろう…」
泰時「…それは」
実朝「母上の本当の目的は京の都。我が後継ぎを決めてまいるのであろうな。」
実朝「我が源氏(げんじ)の血筋はいるが…そのものが後継ぎになると御家人同士で争いが起きる。どの御家人も口の出せない高貴な人物を後継ぎにすれば争いは起きぬ。母上はそうお考えなのであろう。」
泰時「全てご推察の通りだと思います。」
実朝「私もそれでよいと思う…泰時、母上を頼むぞ。」
一行の一部は熊野に行き、政子様や泰時、そして私たちは京へ向かい、着いたのは1218年の正月でした。
京では幕府の出張機関がある六波羅に入りました。
泰時「政子様、鎌倉殿(実朝様のこと)は後継ぎを決めるために上洛したと、ご推察でした。」
政子「そうですか…鎌倉殿はああ見えて鋭い洞察力を持っていますから。」
泰時「後継ぎとは…どなたをお望みですか?」
政子「御家人たちから文句の出ない高貴な人物です。」
泰時「公家…」
政子「明後日に後継ぎを決める話をするために…藤原兼子(ふじわらのけんし)様に会います。」
泰時「藤原兼子様⁉︎ 朝廷の実力者ではごさりませぬか!」
藤原兼子は後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)様の乳母。上皇様の近臣として権勢を誇っていた人物です。
その夜、泰時は自らの家臣・尾藤弥助(びとうやすけ)に会いました。
弥助は泰時に命じられ先に上洛していたのです。
泰時「弥助、伊原光吉(いはらみつよし)に関することは何かわかったか?」
弥助「朝廷に仕える武士…西面の武士(さいめんのぶし)には伊原なるものは過去にもいませんでした。」
泰時「やはり、伊原光吉は偽名か…」
弥助「西面の武士をもっと調べてみます。」
泰時「うむ、我らが京滞在中に何かわかればよいが…」
明後日になり、ついに政子様は藤原兼子と対面したのです…。
つづく…

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