諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1216年春、ついに源実朝(みなもとのさねとも)様が望んでいた渡宋船(とそうせん)が完成しました。
渡宋船のある由比ヶ浜に実朝様や御台様の信子(のぶこ)様、政子(まさこ)様、そして大江広元(おおえのひろもと)や北条義時(ほうじょうよしとき)や泰時、さらに御家人たちが集まってきました。
義時「ついに完成したか…」
広元「鎌倉殿(実朝様のこと)はお喜びのようだ。」
渡宋船の進水式が行なわれるのです。
渡宋船の建造を指揮した陳和卿(ちんわけい)は意気揚々とした様子でした。
陳は船の周りに集まった男達に号令します。
陳「船を押して海に浮かべよ!」
ドンドン!
実朝様は胸の高鳴りを抑えながら、状況を見ていました。
しかし…
船はなかなか動きません。
陳「男ども!もっと力を入れよ!押せ!」
太鼓はさらに激しく鳴り、男達は汗いっぱいになって船を押しました。
実朝様は握り拳をつくり、
実朝「どうしたのだ⁈ 押せ!押すのだ!」
しかし、船は動きませんでした。
広元「これでは船は使い物になりませぬな。」
実朝「そんな馬鹿な…」
しばらくして政子様や義時は帰っていきました。
そして御家人たちも少しずつ由比ヶ浜から去っていきました。
みんな、船が動かないのを見て呆れていたんだね。
実朝様は信子様に、
実朝「先に帰るのだ。」
信子「鎌倉殿は…?」
実朝「私はもうしばらくいる…」
陳は船を動かそうと男達と一緒に押していました。
実朝「陳殿…もうよい…」
その言葉に陳はその場に座り込んでしまいました。
陳「なぜだ⁈ なぜ動かないのだ…」
由比ヶ浜には御家人たちは去り、泰時だけが実朝様と陳の様子を見ていました。
泰時『これで渡宋はできぬ…』
つづく…
次回をお楽しみに〜
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