白の執権 〜第91話 動かぬ船〜 | 歴史を感じよう

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日本史について感じたこと、調べたことを連載形式で書いていきます。また、神社やお寺、史跡巡りしたこと、プロレスについても書いていきます。わが愛犬てんのことも語っていきます。そして…「オイラ、えいたろうの相棒のコアラだよ。是非読んでね。」

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諸行無常の世の中…

我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。





1216年春、ついに源実朝(みなもとのさねとも)様が望んでいた渡宋船(とそうせん)が完成しました。



コアラ実朝さんは宋の国に行こうと船を作らせたんだよ。



渡宋船のある由比ヶ浜に実朝様や御台様の信子(のぶこ)様、政子(まさこ)様、そして大江広元(おおえのひろもと)や北条義時(ほうじょうよしとき)や泰時、さらに御家人たちが集まってきました。


義時「ついに完成したか…」

広元「鎌倉殿(実朝様のこと)はお喜びのようだ。」



渡宋船の進水式が行なわれるのです。








現在の由比ヶ浜




渡宋船の建造を指揮した陳和卿(ちんわけい)は意気揚々とした様子でした。


陳は船の周りに集まった男達に号令します。


陳「船を押して海に浮かべよ!」



ドンドン!


太鼓の音に合わせて男達が船を押します。



実朝様は胸の高鳴りを抑えながら、状況を見ていました。



しかし…


船はなかなか動きません。



陳「男ども!もっと力を入れよ!押せ!」



太鼓はさらに激しく鳴り、男達は汗いっぱいになって船を押しました。



実朝様は握り拳をつくり、

実朝「どうしたのだ⁈ 押せ!押すのだ!」







しかし、船は動きませんでした。






広元「これでは船は使い物になりませぬな。」

実朝「そんな馬鹿な…」






しばらくして政子様や義時は帰っていきました。

そして御家人たちも少しずつ由比ヶ浜から去っていきました。


コアラみんな、船が動かないのを見て呆れていたんだね。



実朝様は信子様に、

実朝「先に帰るのだ。」

信子「鎌倉殿は…?」

実朝「私はもうしばらくいる…」





陳は船を動かそうと男達と一緒に押していました。


実朝「陳殿…もうよい…」



その言葉に陳はその場に座り込んでしまいました。


陳「なぜだ⁈ なぜ動かないのだ…」





由比ヶ浜には御家人たちは去り、泰時だけが実朝様と陳の様子を見ていました。


泰時『これで渡宋はできぬ…』







つづく…
コアラ次回をお楽しみに〜







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