諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
鎌倉幕府第3代将軍、源実朝(みなもとのさねとも)様はますます和歌の世界にのめり込んでいきました。
1213年の秋も深まった頃、京の藤原定家(ふじわらのていか)より実朝様に万葉集(まんようしゅう)が送られてきました。
実朝様は喜び、側近の大江広元(おおえのひろもと)様にも見せました。
実朝「広元、これが古来より伝わる万葉集だ。素晴らしい。」
広元「これに過ぎる宝はありませぬな。」
実朝「我も今までたくさんの歌を詠んだ。よし、我の歌集を作ろう!」
実朝様は歌集作りに没頭し過ぎ、その後、風邪を引かれました。
これに頭を悩ませたのが実朝様の母である政子(まさこ)様です。
泰時は実朝様の見舞いに御所に参内し、政子様に会いました。
泰時「鎌倉殿(実朝様のこと)の具合はいかがですか?」
政子「今は眠っています…あの子は和歌のことになったら無理をしますから。」
泰時「叔母上もご無理をなさらぬように。」
政子「あの子は身体が弱く…今だに子に恵まれませぬ。これでは後継ぎをどうすればよいやら…」
泰時「先代、頼家(よりいえ)様の子がいますが…何かと問題が起きまするな…」
政子「そうなのです。将軍あっての幕府ですから。いや…権威のある者を将軍職につければ…」
政子様は後の将軍の形をおぼろげながら見えてきたようでした。
この後、回復した実朝様は自らの歌集「金塊和歌集(きんかいわかしゅ)」を作り上げたのです。
泰時は実朝様の見舞いの帰りに三浦義村(みうらよしむら)に偶然会いました。
泰時「これは義村殿、鎌倉殿のお見舞いですか?」
義村「そうじゃ、鎌倉殿の様子はいかがかな?」
泰時「今は寝ていました…。」
泰時は義村に付いている武士に目をやりました。
義村「おっ、泰時殿、気づかれたか。これは以前、そなたを探っていた時に忍びとして付けていたものじゃ。」
泰時「そうでしたか、どうりで見覚えがあると思いました。」
義村「わしの家臣で伊原光吉(いはらみつよし)じゃ。元は京におったのじゃ。」
光吉「お初にお目にかかります。伊原光吉です。」
泰時「北条泰時です。」
義村「では御所に参内してこよう。泰時殿、またの!」
泰時は義村一行を見送りましたが、光吉の鋭い目に何やら不気味さを感じていたのです…。
つづく…

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