諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
「くせ者だ!捕えよ!」
鎌倉の大倉御所で声が響きました。
御所に忍び込んだのは我が兄、朝時(ともとき)だったのです。
朝時さん、好きになった姫に会いたくて忍び込んだんだよ。
翌朝、泰時は父、義時(よしとき)に呼び出され館に行きました。
泰時「父上、朝早くいかがされました?」
義時「……」
義時は黙ったまま、別の居間の障子を開けました。
そこには、朝時が座っていたのです。
泰時「朝時ではないか…ん、どうしたのだ?口の辺りが腫れておるが…。」
義時「わしが殴ったのだ…この戯け、惚れた女子に会いたいが為、夜に忍び込んだのだ!」
泰時「!!」
義時「忍び込んだ館が鎌倉殿(源実朝(みなもとのさねとも)のこと)のおられる御所なのだ!鎌倉殿は…お怒りだ!」
泰時「…朝時をどうされます?」
義時「義絶だ!!」
親子の縁を切るってことだね、勘当とも言うね。
泰時「待ってください!それはいささかやり過ぎでは?」
義時「いつもは穏やかな鎌倉殿が怒ったのだぞ!その怒りを鎮めるにはこれしかないわ!」
泰時「朝時は惚れた姫に思いを伝えようと一生懸命だったのです。父上にも若い頃は覚えがあるでしょう。」
義時「それは…」
義時は泰時の言葉に少し戸惑いましたが、
義時「わしのことを話してるのではない!北条の家のためだ!朝時、そなたを駿河国で蟄居を命じる!」
朝時「…はい」
朝時はただ頭を下げるしかありませんでした。
義時「わしは御所へ行って鎌倉殿に説明してくる。」
義時はバタバタと出ていきました。
泰時は朝時の肩に手をやり、
泰時「朝時、忍び込むのはやり過ぎたな…」
朝時「…申し訳ごさりませぬ」
泰時「父上は義絶と言ったが…しばらくは駿河で大人しくしておれ。わしが時期を見て父上に許しを得るゆえ。」
朝時「兄上…ご迷惑をかけて…本当に申し訳ごさりませぬ」
朝時は駿河国に送られました。
この事で御家人の間では義時の後の北条氏の後継ぎは泰時に決まったと見ていたのです。
この御家人の中で…
「北条はバカな騒ぎをしておる……今こそ動く時だ」
企みを持った御家人がいたのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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