諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1206年秋になり泰時は家臣2人を連れ、東国諸国廻りの旅に出ました。
家臣は尾藤弥助(びとうやすけ)、長崎次郎(ながさきじろう)の2人。あっ、2人はこの物語の創作だよ。
泰時「2人とも、その山伏姿、似合っておるぞ」
弥助「殿もお似合いでございます。」
泰時らは武蔵国を超え、下野国(しもつけのくに)に入りました。
次郎「殿、下野はどこに行きますか?」
泰時「まずは足利荘(あしかがのしょう)へ行こう。」
弥助「足利荘といえば御家人ね足利氏(あしかがし)の本拠地ですね。」
泰時「うむ、現在の足利の当主・足利義氏(あしかがよしうじ)殿。今は鎌倉に在中しておるが、足利の発祥の地がどんなところか見ておきたい。」
泰時らは足利荘に入り、ある館の御堂に向かいました。
弥助「殿、ここは足利様の館では?」
泰時「そうだ。この御堂にお詣りをさせてもらおう。」
この御堂が後に足利氏の菩提寺である鑁阿寺(ばんなじ)でした。
その時、足利の館から1人の武士が出てきました。
泰時「もし…我ら旅の修験者。ぜひ御館にある御堂をお詣りしたいのですが…」
武士「ほぅ、こちらの御堂をご存知か?」
泰時「足利様の先代様が建立されたと聞きました。」
この鑁阿寺は足利2代目の足利義兼(あしかがよしかね)さんが建立したんだよ。
泰時らはその武士の案内されました。
武士「こちらです。」
泰時らはお詣りを済ませ、本堂を出ると先ほどの武士が待っていてくれました。
泰時「ご丁寧にご案内して頂き、ありがとうございます。」
武士「なんの、お役に立てましかな。御名は?」
泰時「これは申し遅れました。我は…金剛坊と申します。」
泰時はとっさに自らの幼名で名乗りました。
武士「金剛坊殿…わしは足利義兼が長男、義純(よしずみ)です。」
その武士は長男ながら足利の当主にはなれず、畠山重忠(はたけやましけただ)の未亡人を妻とした畠山義純(はたけやまよしずみ)だったのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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