諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
泰時の館に政子(まさこ)様が来ました。
政子「泰時、心落ち着かない様子ですね。」
政子様は泰時が異母弟の朝時(ともとき)が名越邸を与えられ、父・義時(よしとき)の嫡男になるのではと苛立っていました。
泰時「はっ…お見通しのようですね、自分の存在は何なのか…」
政子「義時の後を継ぎたいと?」
泰時「鎌倉を…いや武士の世を守りたいと私は願っておりますが…心の底では欲があり後継ぎになりたいと思っておりまする。」
政子「…かつて私や義時には宗時(むねとき)という兄がいました。北条は宗時が継ぐはずだったのですが、石橋山の合戦(いしばしやまのかっせん)で討死したのです。」
政子「宗時が亡くなり、嫡男は義時と思いましたが、我が父、時政は嫡男を定めませんでした。」
泰時「…それはなぜ?」
政子「父の継室の牧の方(まきのかた)が自ら生んだ子を嫡男にと言っていたからでしょう。だから父は定めることが出来かねたのです。」
泰時「では父、義時は力づくで嫡男になったと?」
政子「そうではありません。義時は頼朝様の元で励みました。頼朝様の考え方、政治力…いろんなことを頼朝様の元で学んでいったのです。それが力となり、今の義時があるのです。」
泰時「…」
政子「泰時、腐っている時ではありません。あなたにはあなたの役目があるのです。まだ学ぶこともたくさんあるのですよ。」
泰時は嫡男の座にこだわっている自分が恥ずかしくなりました。
泰時「叔母上のいう通りです。私は何を苛立っていたのか、焦っていたのか…」
政子「わかれば良いのですよ。…しばらく旅に出てはどうですか?」
泰時「旅?」
政子「遠くへは困りますが、東国を治める意味でも東国を見廻る旅です。」
泰時「叔母上のお勧めならば、ぜひ行きたいです。東国の御家人の領地を見たいです。」
政子様は泰時に笑顔が戻ったことに安堵しました。
政子「旅に行く時は忠実な家臣を連れて行くのですよ。」
泰時「はい、私には頼もしい家臣がいますゆえ」
泰時は政子様の勧めで東国諸国廻りの旅に出ました。
同行するのは尾藤弥助(びとうやすけ)、長崎次郎(ながさきじろう)の2人の家臣でした。
こうして泰時はお忍びの旅に出かけたのです。
まず向かったのは、北関東の下野国(しもつけのくに)でした…。
つづく…
にほんブログ村

