諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹,竹子(たけこ)です。
1194年、金剛(こんごう、泰時の幼名)は元服し源頼朝(みなもとのよりとも)様から一字を与えられ頼時(よりとき)と名乗りました。
頼時を母親がわりとして育てた政子(まさこ)様はとても喜びました。
政子「金剛…いや頼時、立派な姿になりました。」
頼時「ありがとうございます。頼時、精進致します。ところで叔母上…」
政子「どうかされましたか?」
頼時「鎌倉殿が上洛するとおっしゃってました。一体、京に何用でしょう?」
政子「…我が娘、大姫(おおひめ)のことでしょう。」
政子「大姫を京の公家、一条家(いちじょうけ)に嫁がせたいのですが…当の大姫が拒んでいるのです。」
頼時「大姫様は…以前、源義仲(みなもとのよしなか)の子、義高(よしたか)と婚約していて、それが破談となり…」
政子「大姫はそれ以来、心の病となり…人前にも出てこないのです。頼時はまだ会ったことはなかったですね。会ってみますか?」
頼時「大姫様は私にとっていとこ。ぜひに会ってみたいです。」
政子様は頼時を大姫様のいる居間に連れていきました。
大姫様は縁側に座っていました。頼時は気品のある美しさを感じました。
政子「大姫、いとこの頼時です。元服したばかりなのですよ。」
大姫「……」
頼時「初めてお目にかかります。頼時です。」
大姫様は虚ろな目をしていて、頼時はどこか遠くを見ている感じを受けました。
大姫「…頼時殿はいくつですか?」
頼時「はい、11歳でございます。」
大姫「11…私と義高様と初めて会った時、義高様は11歳でした……うううっ…」
大姫様は涙ぐんでいました。
政子「大姫…下がって居間で休みなさい。」
大姫は居間に入りました。
頼時「まだ辛そうですね。」
政子「大姫は時折、義高のことを思い出して泣いています。武家の娘とはいえ、政争に巻き込まれた大姫が不憫でなりませぬ…。」
頼時「しかし、あの様子では一条家に嫁ぐのは無理では?」
政子「一条家に嫁ぐことは殿(頼朝様)も諦めております。しかし…別の方に嫁がせたいと考えているのです。」
頼時「それは…京におられるのですか?」
政子「ええ、それで上洛するとおっしゃっているのですが…そのお相手が…帝(みかど)なのです。」
頼時「!!後鳥羽帝(ごとばてい)!」
頼朝様は大姫様を後鳥羽天皇様の妃にしようと考えていたのです。
頼時は京に行った時に会った後鳥羽帝を思い出していました。
『朕の宝剣を探し出すのじゃ!』
しかし、頼朝様の上洛を心良く思っていない人物がいたのです…。
つづく…
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