諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
頼朝(よりとも)様は金剛(こんごう、泰時の幼名)を呼び出しました。
金剛「鎌倉殿(頼朝様のこと)が呼んでいる…まさか曾我兄弟(そがきょうだい)のことか?」
金剛は重い足取りで頼朝様の館に入りました。
頼朝「金剛来たか。」
金剛「お呼びにより参りました。」
金剛はそこにいる御家人、多賀重行(たがしげゆき)を見て、
「なぜ多賀殿がいるのか…?」と思いました。
頼朝「金剛、先ほど、重行と外ですれ違ったな?」
金剛「…あっ、はい。私は考え事をしておりました。」
頼朝「その時、重行は身分もわきまえず、そなたに下馬をして礼をしなかった…わしはそれを見たのだ。そなたに非礼を働いたのだ。」
金剛「私は考え事をしていて、気づきませんでした。私も礼を欠いています。」
頼朝「そなたはわしの親戚、北条家の人間。幼少とはいえ、下馬もしないなど非礼にあたるのだぞ。」
金剛は重行が罰せられると思い、
金剛「私は非礼とは感じませんでした。重行殿は非礼を働いたとは思えませぬ。」
重行「そっ、そうです。わしは非礼なことはしておりますぬ。」
頼朝様はしばらく考え込みました。
頼朝「重行、そなたは言い逃れをするため嘘をついておる。金剛が考え事をしていたから下馬をしないなど言語道断だ。」
重行「なっ、なんと!」
頼朝「追って沙汰致す。重行は下がれ。」
重行は出て行きました。
金剛「鎌倉殿、重行殿は非礼ではありませぬ!」
頼朝「金剛、そなたは重行が罰せられると思い、庇っておるな。」
金剛「それは…。」
頼朝「はっはは、金剛は自らにも礼を欠いたからと思っているのであろう。しかし重行の行為は非礼なのだ。それを庇う必要はないぞ。」
頼朝は金剛の肩を握りしめて、
頼朝「その高邁な心根をいつまでも持っているのだぞ。そなたには褒美として太刀を与えよう。」
後日、多賀重行は所領を没収されました。
頼朝様は上下の礼を大事にし秩序を守ることを先決にしたのでした。
この話を聞いた頼朝様の正室、政子(まさこ)様は目を細めて喜びました。
政子「金剛は良い人物に育っていますね。」
そして、1194年になり金剛は元服の時を迎えました…。
つづく…
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