諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子です。
富士の巻狩りが終わり、鎌倉へ戻っていた金剛(こんごう、泰時の幼名)は祖父・北条時政(ほうじょうときまさ)に対する疑惑で頭がいっぱいでした。
「お祖父様が頼朝(よりとも)様を暗殺しようとした⁈」
![コアラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/163.png)
時政は頼朝様が平家(へいけ)を討つため、挙兵する前より協力しており、常に頼朝様を支えていたのです。
さらに頼朝様の正室、政子(まさこ)様は時政の娘。
![コアラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/163.png)
「お祖父様が我が娘婿を暗殺しようとするなど…鎌倉を、武士の世を作るために奔走していたお祖父様にありえないことだ…。」
金剛は自らの中で否定しようと自問自答を繰り返していました。
しかし、仇討ち騒動の後、金剛の父、義時(よしとき)がもらした言葉が頭をよぎります。
義時「父上なら暗殺をやりかねん…。」
自問自答を繰り返す日々の金剛は鎌倉の市中を歩いていると前から馬に乗った御家人の多賀重行(たがしげゆき)がやって来ました。
金剛は重行に気にせず、そのまま歩き、重行も馬に乗ったまま、すれ違いました。
この様子を遠くから頼朝様が見ていたのでした。
頼朝「今のは金剛と御家人の多賀重行だな…、重行を呼べ!!」
重行は頼朝様の館に行きました。
重行「わしはなぜ呼ばれたのだろう?もしや褒美をくれるのかも…」
重行の前に現れた頼朝様は怒り口調でした。
頼朝「そなた、先ほど、北条の金剛とすれ違ったな。」
重行「金剛殿…はい、何やら考え事をしていたようでしたが…。」
頼朝「そなたはなぜ下馬しなかったのだ?」
![コアラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/163.png)
頼朝「金剛は幼少とはいえ、北条家のもの。我が外戚なのだ。そなたと北条は序列において雲泥の差があるのだぞ!そなたは非礼な行為をしたのだぞ!」
褒美をもらえる予想をしていた重行は慌てました。
重行「ただすれ違っただけで、わしは非礼なことはしておりませぬ。」
頼朝「目上のものに対して馬に乗ったままの行為が非礼でなくて何だと言うのだ⁈」
重行「ああっ、金剛殿も非礼とは思ってないはず。金剛殿に聞いてもらいたい。」
頼朝様はすぐさま金剛を呼び出したのです…。
つづく…
![コアラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/163.png)
![にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ](http://novel.blogmura.com/novel_historical/img/novel_historical88_31.gif)
にほんブログ村
![コアラ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/163.png)