諸行無常の世の中…
我は北条泰時(ほうじょうやすとき)が妹、竹子(たけこ)です。
1190年11月、上洛した源頼朝(みなもとのよりとも)様は後白河法皇(ごしらかわほうおう)様に3度に渡り2人だけでお会いしました。
頼朝様は側に我が父・北条義時(ほうじょうよしとき)を置き、連れていました。
義時は頼朝様が法皇様に会われている時は頼朝様の護衛として仕えていたのです。
頼朝様と法皇様の会談が終わり、義時は頼朝様を出迎えました。
その時、義時は法皇様に声を掛けられたのです。
頼朝「法皇様、我が御家人・北条義時です。」
後白河「おぉ、荒っぽい東国にもこんな美男子がおるのじゃな。」
義時「……ほっ、法皇様にお声掛け頂き、義時、ありがたき幸せにごさいます。」
後白河「そなたの父は…確か…」
義時「北条時政(ほうじょうときまさ)にごさいます。」
後白河「そうじゃ。時政は頼朝の代わりにこの都の守護をしておったな。まぁ、朕も苦しめてくれたがなの。」
頼朝「法皇様、お戯れを…。」
時政は京の守護として平家(へいけ)の残党の探索、源義経(みなもとのよしつね)問題の処理、朝廷との政治的折衝と多岐に渡り活躍していたのです。
頼朝様と義時は六波羅の館に戻りました。館では金剛(こんごう、泰時の幼名)が出迎えました。
金剛「殿、父上、お帰りなさいませ。」
頼朝「うむ。」
義時「ところで殿、念願の征夷大将軍の職に就くことはなりましたか?」
頼朝「やんわりと断られたよ。代わりに権大納言、右近衛大将に任じられた。」
義時「それは朝廷の侍大将ではありませぬか…」
頼朝「まあ、そうだ。辞退するのも大人げないであろう。ここは法皇の顔を立てておくのだ。一旦は受けて、いずれは辞任するつもりだ。」
金剛「辞めてしまうのですか?もったいなくありませぬか?」
頼朝「右近衛大将は宮中の警護の長。法皇はわしを朝廷の中に入れておきたいのだろう。それでは武士の世にならぬ。」
義時「では殿はいかがするおつもりですか?」
頼朝「命には限りがある…法皇の崩御を待つ。」
金剛「待たねばなりませぬか?」
頼朝「わしを征夷大将軍に任じぬのは法皇の最後の意地であろう。わしは待つのにはなれておるからの。」
頼朝様は言葉どおり、権大納言、右近衛大将に正式に任じられましたが4日後には辞任したのです。
12月になり頼朝様は鎌倉へ戻るべく京を出立したのです。
此度の上洛で頼朝様は征夷大将軍にはなれませんでしたが義経追討の時に諸国に置いた守護・地頭職を常のものと朝廷に認めさせたのです。
頼朝様は着々と武士の世の地固めを進めていくのでした…。
つづく…
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