世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
1571年、わしの病は重くなり、綱成(つなしげ)は鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に通い、病気平癒を祈っていたのです。
綱成「南無八幡…氏康様が病気との戦に勝てますように!」
10月になり、わしは綱成を小田原城(おだわらじょう)に呼びました。
わしは綱成と氏政(うじまさ)のみを床へ呼び、話をしました。
綱成「大殿、お加減はいかがですか?」
氏康「今日は良いぞ…。」
氏政「大殿は綱成に会うとしっかりしてくるのじゃ。」
氏康「氏政、駿河国の境界の固めはできておるか?」
氏政「はい。抜かりなく首尾よく固めております。ご心配は入りません。」
氏康「うむ…氏政、わしの命もわずかじゃ。言っておきたいことがある。」
氏政「命がわずかとは、そんな弱気な…。」
氏康「聞け。わしの死をもって上杉(うえすぎ)との同盟を切るのじゃ。そして武田(たけだ)と和睦し再び同盟を結べ。」
氏政「武田信玄(たけだしんげん)が我らとの和睦を望みましょうか?」
氏康「それは綱成が話をつけておる。そうでなければ綱成ほどの武将が城を出て降伏などせん。」
氏政「そうなのか?綱成。」
綱成「はい、内々に和睦を探り、信玄もそれを望んでおりました。」
氏康「これがわしの最後の仕事になろう。氏政、我が北条は関東を平定し民の為の国作りをするのじゃ。」
氏政はわしの手を握りしめ、
氏政「父上、後のことは私にお任せください。早雲(そううん)公以来の民を大切にする心、忘れませぬ。」
氏康「頼むぞ、氏政。」
その後、わしは綱成と2人になり、縁側に出ました。
綱成「大殿、お身体に障ります。」
氏康「よい、外を見たいのじゃ。綱成、そなたが北条に入り、50年になるの。」
綱成「もうそんなになりますか…あっと言う間でした。」
氏康「いろいろと思い出すの。そなたには随分助けられた。」
綱成「なんの、大殿がいればこその綱成です。」
氏康「本当に礼を申す…。」
わしは綱成に頭を下げました。
綱成「大殿、顔を上げてください。」
氏康「来世でもそなたを家臣にしたいものじゃ。」
綱成「私も大殿の家臣でありたいです。」
わしも綱成も笑いました。
わしは綱成を信頼し、綱成もわしによく尽くしてくれたのです。
綱成「大殿、そろそろ床に戻り横になりましょう…大殿?」
わしは縁側に座ったまま、うなだれていたのです。
綱成「大殿…大殿‼︎ 」
つづく…
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