私は北条早雲(ほうじょうそううん)の子・幻庵(げんあん)です。
(早雲は伊勢早雲(いせそううん)と名乗っています。)
1517年、早雲の嫡男・氏綱(うじつな)は上総国の遠征を終え小田原城(おだわらじょう)に戻っていました。
そして、その後に早雲の居る韮山城(にらやまじょう)に来たのです。
氏綱「父上、上総より戻ってまいりました。」
早雲「うむ。上総はいかがであった?」
氏綱「上総は複雑な様相になってきました。我らが支援した真里谷信清(まりやつしのぶきよ)殿は古河公方・足利高基(あしかがたかもと)様の弟を担ぐようです。」
早雲「弟とは…僧ではなかったか?」
氏綱「今は還俗して足利義明(あしかがよしあき)と名乗っています。」
この足利義明様は小弓城(おゆみじょう)に入り、小弓公方(おゆみくぼう)と名乗りました。
早雲「うむ〜、足利氏はますます分裂していくか…その時の状況を熟慮して動かねばならぬな。」
氏綱「はい。ところで父上、我らの姓を改めませぬか?」
早雲「ん?以前もそのような話をしたが…いかが致した?」
氏綱「伊豆、相模と平定した我らを''他国の逆徒"と罵るものが関東では多いのです。」
早雲「我らは民のための国を作っておるのにな。」
氏綱「我らは民のために行なっていますが…関東の武士の中ではそう呼び、今後も反発するかもしれません。そこで領地支配は正当であると表すために関東でゆかりのある姓に改めたいのです。」
早雲「今後のためにはよいかもしれんな。なんと改めるのじゃ?」
氏綱「北条と改めたいのです。かつての鎌倉幕府の執権・北条氏の後継者と世に叫びたいのです。」
早雲「北条か…それもよかろう。」
氏綱「我が妻の珠(たま)は北条氏の末裔。我らが北条と名乗ってもおかしくはありませぬ。」
早雲「うむ。だがその前にやらねばならぬことがある…。」
氏綱「それは…?」
早雲「氏綱、わしはそなたに家督を譲り隠居する。」
ついに早雲は氏綱に告げました…。
つづく…


