私、足利義満の娘・智子です。
1441年、私は兄・義教の勧めで身体を休めるために相国寺に入りました。
私は相国寺にある父・義満や兄・義持のお墓に手を合わせる日々を送っていました。
相国寺の創立者は義満さんなんだよ。
その頃、義教は天龍寺や石清水八幡宮など寺社の参詣巡りをし、この相国寺にもやってきました。
義教「智子、変わりはないか?」
私「はい、兄上。日々、父上と義持兄上のお墓にお参りしております。」
義教「そうか。わしも参ろう。」
義教は手を合わせてながら語りました。
義教「ようやく争いのない世になった。これからは民のため、良い世を創っていく所存じゃ。」
私「兄上…良い世とは?」
義教「我が足利家は尊氏様以来、良い世を創ることを使命としてきた。しかし争いが絶えず、敵も多かった。それがようやく叶う時が来たのだ。今まで民を苦しめてしまったが、これからは民も武士も皆が笑って暮らせる世を創るのじゃ。」
そこには万人恐怖と呼ばれた義教の顔はありませんでした。希望に満ち溢れる優しい義教がいたのです。
義教「では帰るとしよう。今宵は赤松邸で宴があるのじゃ。」
私は一抹の不安を感じ、
私「兄上、赤松は大丈夫でしょうか?かつて義持兄上と赤松満祐殿は揉めております。」
義教「満祐は既に隠居の身。何も心配はないぞ。」
義教は笑って去っていきました。
その日の夕刻、私は父や義持のお墓のお参りを済ませ、立ち上がろうとしたら足を滑らせ転びそうになりました。
その時!
「ビシッ!」
1本の矢が私の背後にあった木に突き刺さったのです。
私は矢が飛んできた方向に振り返りました。
「チッ!」
何者かが舌打ちをし逃げていきました。
それを間者の小百合が追いかけます。
私は木に刺さった矢を抜き、矢に見覚えがあることに気づきました。
かつて義持を襲った毒矢と同じだったのです。
しばらくして小百合が戻ってきました。
私「私を襲った者は?」
小百合「追い詰めましたが、自害しました。逃げられないと悟ったのでしょう。しかし襲った者の正体はかつて赤松の間者だった者です。」
私「なんですって⁈ それは確かですか?」
小百合「はい。かつて一緒に行動し見知った顔でした。」
なぜ赤松の間者が私を狙うのか…?
ふと私は気づきました。
私「小百合!赤松邸に向かいます!兄上が危ない!」
私は全てを悟りました。
その頃、赤松邸では宴がもようされておりました。
そして恐るべき惨劇が起こるのです…。
つづく…
次回をお楽しみに~