私、足利義満の娘・智子です。
私は関東に来ました。鎌倉の様子を見ることが主な目的です。
先に来ていた間者の小百合の助言もあり、私は関東管領の上杉憲実殿に会うことにしました。
憲実殿は武家の文庫・金沢文庫の再興を行なっているとの小百合の情報があり私と小百合は金沢文庫のある六浦荘金沢(現在の横浜市金沢区)に向かいました。
六浦荘金沢には金沢文庫の館を建築中でたくさんの人が来ていました。
私は小百合と手分けして、上杉憲実殿を探そうとしている時、1人の武士から声を掛けられました。
武士「もし、そちらの尼殿はこちらに何用ですか?」
振り向くと若い武士でした。
私「私は京から説法をするために来たのですが、金沢文庫が再興されると聞き、見てみたいと思い、こちらに来ました。」
武士「おぉ、京からですか。ぜひ見て行ってください。その前に京の様子を知りたいのですが、お話よろしいですか?」
私「私は聖仙と申します。失礼ですが…あなたは?」
この時、私は自らの正体を明かすわけにはいかないので、とっさに偽名を使いました。
武士「これは失礼しました。私は上杉憲実です。」
私「関東管領の上杉様でいらっしゃいますか?」
憲実「うむ。そうだ。」
私は驚きました。探している方と話をしていたのですから。
憲実「京の様子はいかがですか?新たな将軍が立てられたばかりだが。」
私「民は徳政を求め一揆を起こしております。京の一揆は幕府が出兵して治まりましたが各地でも一揆が起こってるみたいですね。」
憲実「不穏な感じですね。新たな将軍・義教様の評判はどうですか?」
私「評判といっても、まだ将軍になられたはまかりですから。でも私も1人の民として平穏を望みますね。争いは民が苦しみますから。」
憲実「平穏か。まさに私も平穏を望んでおる。」
そこへ憲実殿の家臣が入ってきました。
家臣「殿、公方様がお呼びでございます。至急、鎌倉にお戻り下さい。」
憲実「うむ。わかった。聖仙殿、私は直ちに鎌倉に行かねばならぬが、鎌倉には寄られるか?」
私「はい。連れと合流したら鎌倉に向かうつもりです。」
憲実「鎌倉に来られたら私の居館にも寄ってくだされ。是非、話の続きをしたいのでな。」
私「わかりました。是非、お伺い致します。」
憲実は馬に乗り、その場を立ち去りました。
なんと清い若者であうかと私は憲実殿の第一印象でした。
しかし、鎌倉公方・足利持氏殿は大変なお方だったのです…。
つづく…
