私、足利義満の娘・智子です。
兄・義持の側近、富樫満成殿の兵が異母兄・義嗣の幽閉先の居館に火を放ちました。
間者の小百合が叫びます。
小百合「ここは危険です!智子様も義嗣様も逃げてください!私が案内致します!」
私「義嗣殿、話は後です。ここを離れましょう!」
義嗣「…もうよい。私はここで死ぬのだ。」
私「!!何を言われます⁉︎ 」
義嗣「私が生き延びても、私を担いで良からぬことをするものが出てこよう。また争いが起きてしまう。それなら…。」
小百合「ならば…ならば足利義嗣を捨てればよいのです。」
義嗣「義嗣を捨てる?いかなることじゃ?」
小百合「私の父は元は足利直冬でした。しかし、父は直冬を捨て将軍家の間者として生きたのです。さらに初代将軍・尊氏公の弟・直義様も尊氏公との争いを避けるため、直義の名を捨て流浪の民になりました。」
義嗣「そなた、あの直冬様の……私も民になるか…」
私「義嗣殿、あなたの望みは静かに暮らすこと。義嗣の名を捨て民になれば叶いまする。」
義嗣「わかった!ここから逃げよう。小百合、案内を頼む。」
すでに居館は火が回っていましたが、私たちは火をかい潜り居館を脱出しました。
私たちは京を離れ、比叡山まで落ち延びました。
小百合「ここまでくれば大丈夫です。」
義嗣「智子、小百合、礼を申す。」
私「義嗣殿、此度のことは富樫の策略ですか?」
義嗣「うむ。私は富樫満成に謀反を進められた。守護大名が味方につくと申してな。そこに上杉禅秀の乱が起きたのじゃ。」
義嗣「禅秀は我が側室の父、確かに繋がりはあるが乱に加担するつもりはなかった。しかし、富樫にそそのかされた我が側近らが動いていたようだ。」
私「側近らが守護大名に声をかけたのですね。全ては富樫が元凶。」
小百合「富樫は守護大名を追い落とし幕府の権力が欲しかったのです。」
私は富樫に対する憎悪が出てきました。
義嗣「しかし、全ては終わってしまったことだ。私はこれからは自由な民として生きていく。」
私「義嗣殿…幼い頃、あなたと義持と遊んだことが今はいい思い出です。」
義嗣「智子、小百合、ありがとう。ここで別れよう。」
私「義嗣殿、さようなら。」
義嗣「さらばだ。」
足利義嗣は消えました。
私と小百合には、まだやるべきことが残っています。
それは富樫満成のことでした…。
つづく…
