私、足利尊氏の妻・登子です。
夫の体調はますます酷くなり、居館に引きこもり京の街では夫は亡くなったとの噂まで流れていました。
夫は体調が優れないながらも九州へ出陣したいとの意欲は健在です。
その頃の九州は南朝方の懐良親王様が勢力を拡げていました。
足利方で夫が九州の抑えとして置いていた一色範氏殿も懐良親王様らに敗れ九州から逃れていました。
そんな九州に夫は自らが出陣し勢力回復したかったのです。
しかし、私や義詮、佐々木道誉様までもが何度も夫を止めています。
私「殿、九州に出陣するなど、そのお体では無理です。」
義詮「父上、直冬勢が退いた今、九州は懐良親王勢のみ。私にお任せください。」
夫「……しかし、最後までわしは戦いたいのだ。」
私は夫が戦場での死を望んでいるのではと思いました。
夫は今の世が乱れたのを自らだけの責任だと感じていたのでしょう。
夫の望みは体調の悪化で叶うことはありません。
夫の背中の腫れ物は出陣したいとの夫の意欲まで奪ってしまったのです。
夫「義詮…九州を頼むぞ。」
義詮「お任せください。必ず九州を平定してみせます。」
ようやく夫は九州への出陣を諦め、義詮や家臣、守護大名らの武将と会っていました。
夫は死期を悟り遺言を残すかのようでした…。
つづく…

