私、足利尊氏の妻・登子です。
私の間者・茜は直冬の前で自害し亡くなっていました。
そして直冬は茜が残した私への文を出しました。
その文には…
「御台様がこの文をお読みになってる時、私はもうこの世にはいないということですね。
直冬には幼い頃、私の武術を教えてしまい、武士になりたいとの意になってしまったことを私は責任を感じておりました。
妹の桔梗は直冬を武士にならないよう願っていたのに、こうなってしまい私は命をかけ直冬に会いにいったのです。
直冬が戦を辞めていれば私の願いは叶いました。
ただ御台様を最後までお守りする勤めを果たせなかったことが心残りです。
その勤めは御台様の兄上様、守時様から命じられたもの。
私は密かに守時様をずっとお慕い申し上げておりました。
私はお慕いしていた守時様が心より大切になされた御台様を私は何に変えてもお守りしようと誓ったのです。
御台様、お先に逝ってしまったことをお許しください。
私は尊氏様と御台様なら良い世にできると信じております。」
私は読みながら涙が溢れてきました。
私「茜は今何処に?」
直冬「私が軍から離れた後、京の外れの寺に葬りました。」
私「そうですか…。」
直冬「私が離れた軍はいずれ分裂となるでしょう。私は世を捨て生きていきます。」
私「…待ちなさい、直冬。茜の変わりに私に仕えなさい。」
直冬「えっ⁈ しかし、私は御台様や尊氏様の敵だったもの…。」
私「既に過去のことです。茜の心残りをあなたが果たすのです。それがあなたの役目です。」
直冬は涙が流れるのを我慢していました。
直冬「私を使って頂けるとは…命をかけお仕えします。」
私「足利直冬は消えました。これからは信と名乗りなさい。信じるの信です。」
こうして直冬…いや信は私の間者となりました。
その夜、私は茜を思い泣き明かしました。
京は平穏になりました。
しかし、夫の病は悪化して政務は義詮が行っています。
京の街では夫は亡くなったとの噂まで流れていました…。
つづく…