私、足利尊氏の妻・登子です。
1354年、長門国にいた直冬がついに京へ向け進軍してきました。
直冬は南朝方に帰服していたので、南朝方の楠木正儀殿も進軍してきます。
直冬の勢力は凄まじく、京での戦いは不利と判断した夫や義詮は一時京を退去することにしました。
夫「義詮!後光厳天皇様に御動座して頂くのが先決ぞ。」
義詮「はい。先の二の舞にはなりません。」
義詮は光厳、光明、崇光の3人の上皇様を南朝方に連れ去られた苦い経験から後光厳天皇様の御動座を優先しました。
後光厳天皇様や夫も義詮も、そして私も一旦は近江国へ退きました。
翌1355年、直冬らは京を占領しましたが、それは一時的で夫はすぐに反撃し京を奪還しました。
私は近江国に避難したままで戦況の報せを待っているのです状態です。
報せを持ってくるのは間者の茜です。
私「茜、戦況はどうですか?」
茜「義詮様の軍勢と直冬方の山名の軍勢が摂津国神南で戦い、義詮様が勝ちました。」
私「義詮が!」
茜「山名勢を打ち破り崩壊させました。」
私「殿の様子はいかがですか?」
茜「今は変わりはないようです。医師もついています。」
私「直冬は今どこに?」
茜「京の東寺に陣を置いています。あの御台様…。」
茜は急に深妙になり私に頭を下げ、
茜「私が直冬を止めて参ります。」
突然の茜の申し出に私は驚きました…。
つづく…

