私、足利尊氏の妻・登子です。
1349年夏、夫と私のところに間者の茜が来て、
茜「高師直様が兵を率いて直義様の居館に向かっております。」
私「師直が⁈ 直義殿を襲う動きですか?」
茜「そのようにございます。師直様は師泰様の軍勢と合流して、兵の数は5万にもなりました。」
夫「直義はいかにしておる?」
茜「上杉重能様、畠山直宗様、細川顕氏様らが集まりましたが、千人ほどの兵です。」
夫「茜、直義にわしの居館に来いと伝えよ。師直もわしの居館まで襲うことはあるまい。」
茜は直義殿の居館に向かいましたが、私はこの時の夫の冷静な態度が気になりました。
直義殿は夫の居館に逃げ込んできたのは、それから直ぐのことです。
ところが夫の言ったことに反して師直らは直義殿を追い夫の居館を囲んでしまいます。
夫「師直め!わしまで殺すつもりか⁉︎ こうなったら直義、共に討って出ようぞ!」
直義「なりませぬ!それでは足利は滅びます。わしが責めを負います。」
師直は自らを暗殺しようとした上杉重能と畠山直宗の流罪を求めました。
夫「直義、責めを負うとはどういうことだ⁈ 」
直義「わしが師直に討って出ます。兄上まで巻き込みません。師直の目的はわしなのですから。」
夫「ならん!滅びる時は一緒ぞ!」
私「殿も直義殿も何を言っているのですか?死んではなりませぬ!」
夫と直義殿の話は平行線のままでしたが、その後、師直らは居館を囲み兵糧攻めの構えを見せ始めていました。
直義「師直はわしだけじゃなく足利家まで討つつもりか⁈ 」
夫「直義、どうする?」
直義「………兄上まで巻き込み足利家が滅ぶのはわしの本意ではありません。」
夫「師直の要求をのむしかあるまい。」
直義「わかりました。」
夫「…直義、責めを負うなら政務から退け。」
直義「‼︎ しかし…」
夫「致し方あるまい。後には義詮を付ける。」
この時、私は今回のことが読めました。
師直の行動は夫と相談してのことだと思います。優柔不断な夫が今回に限っては冷静で判断が早かったのです。
こうして直義殿は幕政から引退し、上杉重能、畠山直宗は流罪となりました。
そして鎌倉から義詮が帰ってきます…。
つづく…
