私、足利尊氏の妻・登子です。
高師直と対立していた直義殿は夫に師直の執事解任を求めます。
直義殿は師直らの朝廷や寺社の権威を無視した行為に我慢がならなくなったのです。
この時期、夫は亡き後醍醐天皇様に背いたことを悔やみ仏に手を合わせる日々を過ごしていたのです。
そんな夫は直義殿に師直執事解任を求められ渋々応じました。
執事解任に驚いた師直は夫に訴えてきました。
師直「殿!私は南朝討伐のためにどれほど働いたか、なぜ解任されればならんのですか⁈」
夫「…師直、今回は退け。」
師直「私が退けば殿は丸裸同然!誰が殿をお守りするのですか⁈」
夫「そう思っていたなら、なぜ日々の行動を慎まなかったんだ⁈ 朝廷や寺社の土地に踏み込んだりしたら訴訟を扱う直義が苦しむのがわからぬのか⁈」
師直「……」
夫「師直、退く時は退くのだ。機会はまたある。」
師直はチラリと私を見て、
師直「わかりました。しかし、このままでは直義様が幕府を仕切って、その後を直冬様が継ぐことになりますぞ。」
私は不安になりました。師直の言うとおりになると我が子、義詮はどうなるのか?
師直がその場を去った後、
私「殿!師直の言うとおりです。この後どうするのですか⁈ 足利家を継ぐのは義詮ではなく直冬なのですか⁈」
夫「そんなことは決まっておらん。今回は師直の解任だけだ。」
私「しかし、このまま幕府を直義殿が仕切ればそうなるのでは…」
夫「わしは将軍ぞ!」
私には夫が何を考えているのか、理解できませんでした。
その後、直義殿の配下の者が師直を暗殺しようとしますが未遂に終わりました。
師直は
「おのれ、直義め!今に見ていろ!」
と命辛々、自邸へ戻りますが、そこへ夫からの使いがあり、後日師直は夫の居館に向かいます。
夫と師直は何かを話していましたが、この時は私にはその内容はわかりませんでした。
そして1349年夏、師直はついに恐るべき行動に出ます…
つづく…
