私、足利尊氏の妻・登子です。
紀伊国で暴れている南朝方の討伐で、夫と私のところに直義殿が直冬の出陣を願いにきました。
直義「今回の討伐軍の大将に直冬に致したいのです。」
夫「直冬にとっては初陣になるぞ。いきなり大将とは…まだ早い!」
直義「直冬は日々武術の鍛錬しています。その腕は目を見張るものがあります。それに家臣からも慕われております。」
夫は明らかに嫌悪感を出して、
夫「ならん。まだ早い!」
直義「…なぜです?楠木正行とそんなに歳は変わりませぬぞ。早くはありません!」
夫「討伐軍は他のものに任せる!」
そう言って夫はその場から出て行きました。
直義「兄上は直冬を認めなくないのだ。姉上はどう思われますか?」
私「…私にはわかりません。しかし直義殿、これだけははっきり言っておきます。足利家の嫡男は義詮です。」
私は直冬が夫の庶子であったとしても嫡男は義詮だということを直義殿に突きつけておきました。
夫に言っても埒があかないと思った直義殿は、光厳上皇様に「直冬に南朝を討て」との院宣を出して頂くよう願い出ました。
そして院宣は出され直冬は南朝討伐軍の大将になりました。
これを聞いた夫は苦々しく思ったようです。
「直義め!将軍のわしを飛び越え上皇を利用するとは…。」
直冬は紀伊国に出陣し、3ヶ月間各地を転戦し南朝方を討ち破り凱旋します。
戦功を上げた直冬を夫や執事の高師直、そして私も冷ややかな目で見ていました。
しかし、直冬は武将としての能力は確かにありました。私は口に出すことはできませんがそう思っていました。
直冬をこのままに京に置いていてはいけないと考えた直義殿はある行動に出ます…。
つづく…
