私、足利尊氏の妻・登子です。
『足利尊氏様は私の父上ではないですか?』
鎌倉から来た又若の言葉を確かめる為、私は怒りを抑え、茜を連れ夫の元へ行きました。
夫「登子いかがした?茜も一緒か。」
私「殿…先ほど、又若が来ました。」
夫「⁈ …又若、いつぞや登子が話してくれた茜の甥だな。又若がどうしたのだ?」
夫は少し動揺した様子でした。
私は又若が言ったことをそのまま話しました。
夫「又若はわしの子と?」
私「殿!本当はどうなのですか?」
夫は茜をチラリと見てため息をつき、
夫「…登子、すまぬ。又若はわしの子じゃ。」
私「一体どうゆう事ですか?私が殿に嫁ぐ前、殿は竹若丸という子のことは話してくれました。しかし、又若のことは聞いていません。隠していたのですか?」
竹若丸ちゃんは尊氏さんが北条氏に背いた元弘の戦で亡くなったんだよね。
私「あの時はわしもまだ知らなかったのだ。知ったのは、登子が鎌倉で又若に会った時と同じ頃だ。」
私「一体どうなってるのですか?いつ殿は又若の母と…茜、あなたの妹とは何者ですか?」
茜「…名を桔梗と申します。桔梗と私は母が違います。桔梗は家を飛び出し白拍子になりました。」
夫「わしの若い頃、足利の館に来た白拍子と一度だけ…一度だけ交わしたのだ。」
私「その時の子が又若…⁈ にわかに信じられません。」
茜「…妹は殿だけだと申しておりました。」
私「そんなこと!そんなことわかりません!信じられません!」
夫「登子、これは本当のことなのだ!」
私「私は…私は認めません!」
私はその場から出ていきました。今更、そんなこと信じられなったのです。
私は言い様のない感情でいっぱいでした。
その後、又若は京の僧、玄恵様のところに身を寄せていたようです。
玄恵様は又若の事情を知り、夫の弟の直義殿に相談したのです…。
つづく…
