私、足利尊氏の妻・登子です。
京に戻るように命じても鎌倉から出ない夫に後醍醐天皇様は、
「なぜ戻らん⁈足利は既に朕の心から離れたか⁈…朕に刃向かうのなら、足利を討伐せねばならん!」
と新田義貞様に足利討伐を命じました。
それをまだ知らない鎌倉の私や夫は、先日の又若の話をしていました。
夫は又若の話を作り笑いのような顔で聞いていました。
私「しかし、茜に妹がいたとは…殿はご存知でしたか?」
夫「いや、知らなんだ。茜の妹の子が又若かぁ。」
そこへ執事の高師直が慌てて入ってきます。
師直「とっ、殿!新田義貞が攻めてきます。」
夫「!この鎌倉をか⁈」
師直「はい!帝の足利討伐の命が下ったようです!」
夫「何っ!」
ついに足利氏は帝の敵、朝敵とされてしまいました。
新田義貞率いる軍は6万を超えていました。その軍が鎌倉を目指し進軍しています。
夫は、
夫「ワシは帝には恩義を感じておる。その帝に刃向かうつもりはない。こうなった以上、帝の御怒りを静めるには…出家するしかない!」
直義「何を言うのです!新田と戦わなければ足利は滅びまするぞ!」
夫「新田は官軍ぞ!ワシは帝の軍とは戦えん!」
そう言って夫は自らの髷を切りました。
私「殿!」
夫「ワシは寺にこもり、帝の御怒りが静まるのを待つ。」
その日以来、夫は寺にこもってしまいました。
夫のいない足利軍は直義殿と高師直が率いて新田軍に立ち向かいましたが、三河国矢作、遠江、駿河でことこどく敗退しました。
夫が引きこもっている足利軍は士気が上がりませんでした…
つづく…
